札幌大通遺言相続センター 司法書士法人第一事務所

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「二次相続」とは、最初の相続(一次相続)で配偶者や子どもが財産を相続した後、残された配偶者が亡くなった際に発生する二度目の相続のことです。

多くの方が一次相続については考えられていても、二次相続まで見据えている方は少ないのではないでしょうか。

しかし、二次相続は、相続税の負担増加や家族間のトラブルなど、様々な問題を引き起こす可能性があります。

特に、二次相続では、「相続税の基礎控除額が減る」「配偶者控除が適用されなくなる」ことから、一次相続よりも相続税額が増加する傾向にあります。

そのため、二次相続に備えた対策を早めに講じることが非常に重要です。

この記事では、二次相続の基本的な仕組みから、一次相続との違い、相続税への影響、具体的な対策まで、分かりやすく解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、二次相続対策の重要性を理解し、今からできる準備を始めましょう。

二次相続とは?基本の仕組みを理解しよう

相続は、一般的に両親の死亡によって発生します。

といいます。

例えば、両親と子ども2人の4人家族の場合を想定してみましょう。

まず父親が亡くなると、母親と子どもたちが遺産を相続します。これが一次相続ですね。

その後、母親が亡くなると、子どもたちだけで遺産を相続することになります。これが二次相続です。

一次相続と二次相続、何が違う?

一次相続と二次相続の大きな違いは、相続人の構成です。

一次相続では、配偶者と子どもが相続人となりますが、二次相続では、子どもだけが相続人となります。

この違いは、相続税に大きな影響を与えます。二次相続では、一次相続よりも相続税が増える可能性が高く、注意が必要です。

二次相続で相続税が増える理由

先述したように、二次相続では相続税が増えてしまうため、注意が必要です。

以下にその理由を整理しました。

①基礎控除額の減少

相続税の基礎控除額は、相続人の数によって異なります。二次相続では、配偶者がいないため、基礎控除額が減少し、相続税額が増える可能性があります。

②死亡保険金・死亡退職金の非課税限度額の減少

死亡保険金と死亡退職金には、法定相続人1人あたり500万円の非課税限度額があります。二次相続では、法定相続人が減るため、非課税枠が減少し、相続税額が増える可能性があります。

③配偶者控除の不適用

一次相続では、配偶者控除という大きな控除が適用されます。しかし、二次相続では配偶者がいないため、この控除が適用されません。

④配偶者所有財産の合算

二次相続では、一次相続で相続した財産と、配偶者自身が所有していた財産が合算されます。これにより、遺産額が増え、相続税率が高くなる可能性があります。

⑤小規模宅地等の特例の適用条件の厳格化

小規模宅地等の特例は、居住用または事業用の宅地等の評価額を減額できる制度ですが、二次相続では、適用条件が厳しくなる場合があります。

二次相続の税金を抑えるための対策をしよう

二次相続の税金負担を抑えるための対策はいくつか存在します。ここでは、代表的な4つの対策について解説します。

①一次相続の段階で財産を分配する

一次相続の段階で、将来の二次相続を見据えて財産を分配することが重要です。例えば、一次相続で配偶者が多くの財産を相続してしまうと、二次相続で子どもたちの相続税負担が大きくなる可能性があります。

そのため、一次相続の時点で、子どもたちにも一定の財産を分配しておくことで、二次相続の際の相続税を抑えることができます。

②生前贈与を活用する(毎年110万円まで非課税)

生前贈与は、相続税対策として有効な手段の一つです。生前に子どもや孫に財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。

贈与税には、年間110万円の基礎控除があります。この範囲内であれば、贈与税はかかりません。毎年少しずつ贈与することで、将来の相続税負担を軽減することができます。

③生命保険の活用(相続税の非課税枠を利用)

生命保険は、相続税対策として有効な手段の一つです。生命保険金は、相続税の課税対象となりますが、一定の非課税枠が設けられています。

具体的には、「500万円 × 法定相続人の数」が非課税限度額となります。生命保険を活用することで、相続税負担を軽減することができます。

④家族信託を活用する

家族信託は、財産管理・承継の方法の一つであり、二次相続対策としても有効です。家族信託を利用することで、財産の管理・運用を家族に託し、二次相続発生後の財産承継を円滑に行うことができます。

また、家族信託は、遺言書では実現できない柔軟な財産承継を可能にするというメリットもあります。

まとめ:相続対策は早めに準備しよう!二次相続に備える重要性

相続は、誰にでも起こりうる出来事です。

しかし、多くの方が一次相続のことばかりに気を取られ、二次相続の対策を怠りがちです。二次相続は、相続税負担の増加や親族間のトラブルを引き起こす可能性があり、早めの準備が非常に重要です。

相続の基本ポイントのおさらい

相続は、亡くなった方の財産を、配偶者や子どもなどの法定相続人が引き継ぐことを指します。相続税は、相続財産の総額から基礎控除額を差し引いた課税価格に対して課税されます。

一次相続での適切な財産分配が重要

一次相続では、残された配偶者の生活を保障することが重要ですが、同時に二次相続のことも考慮する必要があります。一次相続で配偶者が過剰に財産を相続してしまうと、二次相続で子どもたちの相続税負担が増加する可能性があります。

そのため、一次相続の段階で、二次相続を見据えた適切な財産分配を行うことが重要です。

相続税対策には、生前贈与・生命保険・遺言が有効!

相続税対策には、様々な方法がありますが、代表的なものとして、生前贈与、生命保険、遺言書の作成などが挙げられます。

生前贈与生前に子どもや孫に財産を贈与することで、相続財産を減らすことができます。
生命保険生命保険金は、相続税の非課税枠を利用することができます。
遺言書遺言書を作成することで、遺産分割の方法や承継者を指定できます。

これらの方法を組み合わせることで、効果的な相続税対策を行うことができます。

専門家と相談しながら計画的に進めよう

相続対策は、専門的な知識が必要となるため、弁護士、税理士、司法書士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。専門家は、個々の状況に合わせて最適な相続対策プランを提案してくれます。

【二次相続対策はいつから始めるべき?】

二次相続対策は、早ければ早いほど有利です。特に、生前贈与は、時間をかけて計画的に行うことで、より大きな節税効果が期待できます。

また、遺言書の作成も、元気なうちに自分の意思を明確にしておくことが大切です。

認知症対策や相続対策として注目されている「家族信託」。

「家族信託ってうちには必要ないんじゃない?」

「うちも利用するべきなの?」

「利用しなくてもいい条件は?」

このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

家族信託は、確かに有効な制度ではありますが、全ての人にとって最適な選択肢とは限りません。

そこで、この記事では、家族信託が不要なケースについて詳しく解説します。

ご自身の状況と照らし合わせて、家族信託が必要かどうかを判断する材料としてお役立てください。

家族信託が必要ないケース

家族信託は、財産管理や承継の手段として注目されていますが、「家族信託は必ない」「本当に必要なのか」という疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

家族信託は、自由度が高く柔軟な制度設計が可能な一方で、全ての人にとって最適な選択肢とは限りません。

以下のケースに該当する場合は、積極的に家族信託を利用する必要性は低いと考えられます。

①財産が少額のお金のみ&不動産を持っていない

不動産を所有しておらず、預貯金も少額の場合、家族信託を利用するメリットは少ないと言えます。

家族信託の主な目的の一つは、不動産の管理・処分を円滑に行うことです。不動産がない場合、家族信託を活用する場面は限られます。

また、預貯金が少額であれば、銀行の代理出金機能や成年後見制度など、他の制度で対応できる可能性があります。

ただし、将来的に不動産を取得する予定がある場合や、認知症による資産凍結を懸念する場合は、家族信託を検討する余地があります。

②事前に財産を子どもの名義にしている

生前贈与や名義変更により、すでに財産を子どもの名義にしている場合、家族信託を利用する必要はありません。

子どもが財産の管理・処分を自由に行えるため、家族信託で同様の目的を達成する必要がないからです。

ただし、名義変更の手続きが適切に行われているか、他の親族との間でトラブルが生じる可能性はないか、など注意すべき点もあります。

③本人がまだ元気

本人が若く健康で、自分で財産管理ができる場合、家族信託を急いで検討する必要はありません。

家族信託は、原則として契約締結と同時に効力が発生します。そのため、本人が元気なうちから家族信託を利用すると、財産管理の自由度が制限される可能性があります。

ただし、将来的な認知症リスクや、不測の事態に備えて、情報収集や専門家への相談を始めることは有益です。

④家族との関係がよくない

家族信託は、家族間の信頼関係に基づいて成立する制度です。家族仲が非常に悪い場合、家族信託を利用すると、かえってトラブルが悪化する可能性があります。

受託者(財産を管理する人)の選任や、信託内容の決定において、家族間の意見対立が生じる可能性があるためです。

家族仲が悪い場合は、家族信託以外の方法で、財産管理や承継について検討する必要があります。

家族信託が意味のあるケース

以下のケースに該当する場合は、家族信託を積極的に検討することをおすすめします。

①認知症による銀行口座の凍結を回避したい

認知症になると、銀行口座が凍結され、預金の引き出しや払い戻しができなくなる場合があります。

家族信託を利用すれば、受託者が本人に代わって銀行取引を行えるため、口座凍結による不便を解消できます。

②自宅や収益不動産などを所有している

不動産は、認知症になると売却や管理が難しくなる場合があります。家族信託を利用すれば、受託者が不動産の管理・処分を行えるため、不動産の価値を維持できます。

③二次相続を考慮したい

二次相続とは、最初の相続(一次相続)で配偶者と子供が相続した後、その配偶者が亡くなったことで発生する二度目の相続のことです。

相続は一般的に、両親の死亡によって発生します。父と母、それぞれが亡くなったときに相続が発生しますが、このうち一度目を一次相続、二度目を二次相続といいます。

家族信託では、一次相続だけでなく、二次相続以降の財産の承継先も指定できます。

④介護費や医療費を捻出したい

認知症になると、親の財産を介護費や医療費に充てるのが難しくなる場合があります。

家族信託を利用すれば、受託者が親の財産を管理・処分できるため、必要な費用を捻出できます。

⑤両親の判断能力が低下している

高齢になると、判断能力が低下し、財産管理が困難になる場合があります。家族信託を利用すれば、受託者が本人に代わって財産管理を行えるため、安心して老後を過ごせます。

⑥障害のある子どもの将来が不安

障害のある子どもの生活を支えるために、家族信託を利用することができます。

家族信託では、親亡き後の子どもの生活費や医療費の管理、財産の承継について、具体的な計画を立てることができます。

家族信託の代替手段は?他の相続対策と比較

家族信託のほかに、代替手段は「委任契約」「成年後見制度」「遺言」があります。それぞれの比較を通じて、その特徴を詳しく解説します。

①委任契約

委任契約親の財産管理を委託できる登記手続きには、所有者本人の意思確認が必要
家族信託子を受託者として親の財産管理を委託できる不動産の売却は、受託者が所有者のように行える

【ポイント】

②成年後見制度

成年後見制度認知症などの人の保護・支援を目的とした制度家庭裁判所の関与が必須で、相続税対策や積極的な資産運用は想定されていない居住用不動産の売却には家庭裁判所の許可が必要など、財産管理が厳格身上監護(介護や医療に関する手続きなど)が可能
家族信託親の判断能力が低下・喪失した場合でも、受託者が財産管理を継続できる契約内容を自由に決められるため、積極的な資産運用も可能ただし、身上監護(介護や医療に関する手続きなど)はできない

【ポイント】

③遺言

遺言一次相続(自身の死後)の承継先のみ指定可能財産の受渡方法は原則として一括承継
家族信託信託契約の中で相続後の承継者を指定できるため、遺言書は不要遺言では指定できない数世代先までの承継先を指定可能財産の受渡方法(時期・回数など)を自由に設計できる受益者連続型信託により、自身の死後の財産管理も指定可能

【ポイント】

家族信託を利用すべきか判断するポイント

家族信託は、認知症対策や相続対策として有効な手段ですが、全ての人にとって最適な選択肢とは限りません。家族信託を利用すべきかどうかを判断するポイントはいくつかあります。

①財産の状況

【不動産の有無】

不動産を所有している場合、家族信託は有効な手段となります。認知症になると不動産の売却や管理が難しくなりますが、家族信託を利用すれば、受託者がスムーズに管理・処分できます。

【財産の額】

財産が少額の場合、家族信託の費用対効果が低い可能性があります。他の制度(成年後見制度など)を検討しても良いでしょう。

②家族の状況

【家族関係】

家族間の信頼関係が重要です。家族信託は、受託者(財産を管理する人)に大きな権限を与えるため、家族間の信頼関係がなければトラブルが生じる可能性があります。

【家族構成】

相続人が複数いる場合、遺産分割協議が複雑になることがあります。家族信託を利用すれば、遺産分割協議をせずに、スムーズに財産を承継できます。

③本人の状況

【年齢・健康状態】

若く健康な場合は、家族信託を急ぐ必要はありません。しかし、将来的な認知症リスクを考慮し、早めに情報収集を始めることは重要です。

【意思能力】

認知症などで意思能力が低下している場合、家族信託契約を結ぶことが難しい場合があります。成年後見制度など、他の制度を検討する必要があります。

④目的

【認知症対策】

認知症による資産凍結を防ぎたい場合、家族信託は有効な手段です。

【相続対策】

相続争いを避けたい場合や、特定の相続人に財産を承継させたい場合に、家族信託は役立ちます。

【財産管理】

高齢や病気などで財産管理が難しい場合、家族信託を利用することで、家族に財産管理を任せることができます。

⑤費用

【専門家への報酬】

家族信託契約書の作成や手続き代行には、司法書士や弁護士への報酬が必要です。

【信託財産の管理費用】

信託財産の管理には、費用がかかる場合があります。

さいごに:家族信託といえば司法書士!なぜおすすめなのか

家族信託契約は、財産管理・承継の有効な手段ですが、専門知識が必要となるため、司法書士への依頼をおすすめします。ここでは、家族信託に強い司法書士に依頼する5つのメリットを具体的に解説します。

①契約書の作成から提出までやってくれる

司法書士は、不動産登記や相続手続きの専門家であり、家族信託契約書の作成・監修を適切に行うことができます。金融機関や不動産会社との調整も代行し、信託法に基づいた正確な契約書を作成します。公正証書とする手続きもサポートします。

②面倒な登記手続きをやってくれる

司法書士は、士業の中で唯一登記手続きを代行できます。

信託財産となった不動産の登記手続きをワンストップで依頼できます。名義変更だけでなく、金融機関の口座変更や信託口口座開設といった手続きもサポートします。

③冷静な立場で家族との話し合いをアドバイスしてくれる

家族信託は、家族間のトラブルが懸念される場合がありますが、司法書士が間に入ることで、話し合いを的確にサポートします。専門家による冷静な意見は、家族間の感情的な対立を避け、円滑な契約締結に繋がります。

④相続や生前贈与に関する相談ものってくれる

司法書士は、相続や生前贈与に関する知識と実務経験を有しており、相談に対応できます。家族信託は相続まで見越した契約となるケースが多く、委託者死亡後の手続きも一貫して依頼できます。税理士と連携している司法書士事務所であれば、節税や相続税に関する相談も可能です。

相続が発生した場合、まず行わなければならないのが相続財産調査です。

「相続財産なんて、家族しか知らないのでは?」

そう思われる方もいるかもしれません。しかし、実際には故人の財産は多岐に渡り、把握しきれないケースも少なくありません。

この記事では、相続財産の種類から具体的な調査方法、期限、専門家への依頼について解説します。

相続財産調査の必要性

相続が発生した場合、相続人は様々な手続きを行う必要がありますが、その中でも特に重要なのが相続財産調査です。

「相続財産なんて、家族しか知らないのでは?」

そう思われる方もいるかもしれません。しかし、実際には故人の財産は多岐に渡り、把握しきれないケースも少なくありません。

相続財産調査は、相続手続きをスムーズに進める上で非常に重要な役割を果たします。

①相続放棄するか承認するかの判断のため

相続人は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に、相続の方法を決定する必要があります。

相続放棄や限定承認を選択するには、3ヶ月以内に家庭裁判所での手続きが必要です。

相続財産の内容が不明なままでは、適切な判断を下すことができません。

特に、故人に多額の借金があった場合、相続放棄を選択しなければ、借金を背負ってしまうことになります。

②遺産分割協議のため

相続人が複数いる場合、遺産分割協議を行い、誰がどの財産を相続するかを決定する必要があります。

遺産分割協議を円滑に進めるためには、相続財産の内容を明確にしておくことが不可欠です。

もし、遺産分割協議後に新たな財産が発覚した場合、協議をやり直す必要が生じる可能性があります。

③相続税の申告のため

相続税は、相続財産の額に応じて課税されます。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。

正確な相続税申告を行うためには、相続財産を漏れなく把握する必要があります。

期限内に申告しなかった場合、加算税や延滞税が課される可能性があります。

相続財産の種類

相続財産は、プラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。これらを漏れなく調査し、正確に把握することが、相続手続きをスムーズに進める上で不可欠です。

特に、マイナスの財産を把握せずに単純承認してしまうと、故人の借金を背負ってしまう可能性があります。

また、相続税申告においては、相続財産の評価額に基づいて税額が計算されるため、正確な財産調査が求められます。

①プラスの財産

現金預貯金、タンス預金、金庫内の現金など
有価証券株式、投資信託、国債、社債など
不動産土地、建物、マンションなど
動産自動車、貴金属、骨董品、絵画など
知的財産権特許権、著作権、商標権など
その他ゴルフ会員権、生命保険金、退職金など

②マイナスの財産

借金住宅ローン、自動車ローン、消費者金融からの借入金など
未払い金クレジットカードの未払い金、税金、公共料金など
債務損害賠償金、保証債務など

相続財産の調べ方

相続財産調査は、大きく分けて4つの段階で進めます。

①預貯金の調査

まずは、取引のある金融機関を特定します。故人の遺品の中から、通帳やキャッシュカード、金融機関からの郵便物などを探しましょう。

金融機関が特定できたら、死亡時の残高を確認します。通帳の記帳や残高証明書の発行で確認できます。残高証明書は、相続税申告の際に必要となる書類です。

②借金の調査

借金は、調査漏れがあると後々大きなトラブルにつながる可能性があります。「借金なんてあるはずない」と思っていても、徹底的に確認するようにしましょう。

まずは、借入先を特定します。契約書や借入先からの郵便物、通帳の取引履歴などを探します。

次に、信用情報機関に情報開示請求を行い、他にも借金がないか確認します。信用情報機関は、JICC、CIC、全国銀行個人信用情報センターの3つがあり、借入先の種類によって問い合わせる機関が異なります。

借入先を特定できたら、死亡時の借入残高を確認します。借入先の金融業者に問い合わせて借入金残高証明書を発行してもらいましょう。

③不動産の調査

まずは、不動産を特定します。固定資産税の納税通知書や登記済権利証などを探します。

もし手がかりが見つからない場合は、名寄帳を申請して不動産を特定する方法もあります。名寄帳は、市町村役場で取得できます。

不動産の地番と家屋番号が分かったら、法務局に登記事項証明書を申請します。これは、不動産の権利情報(持ち分や抵当権など)を確認するためです。

不動産の必要情報が揃ったら、不動産の評価額を調べます。評価方法はいくつかありますが、相続税申告の場合は路線価方式で評価します。

④有価証券の調査

まずは、取引のある証券会社を特定します。株券や証券会社からの郵便物などを探します。

もし手がかりが見つからない場合は、証券保管振替機構に開示請求をするという方法もあります。

取引している証券会社が特定できたら、有価証券の残高を確認します。残高証明書の発行依頼方法は、各証券会社によって異なります。

相続人調査はいつまでにやるのか

相続財産調査には、法的な期限と、実務上の期限の2種類が存在します。

①法的な期限

相続財産の調査に関連する法的な期限は、主に以下の2つです。

【相続放棄・限定承認の期限】

相続人は、相続開始を知った時から3ヶ月以内に、相続放棄または限定承認の手続きを家庭裁判所で行う必要があります。

相続放棄とは、故人の財産を一切相続しないことを選択することです。

限定承認とは、故人のプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産も相続することをいいます。

これらの手続きを行うためには、3ヶ月以内に相続財産の内容を把握する必要があります。

【相続税申告の期限】

相続税の申告期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内です。

相続税申告が必要かどうかを判断するためにも、相続財産の調査は不可欠です。

②実務上の期限

法的な期限とは別に、実務上も早めに相続財産調査を始めることが望ましいです。特に、相続放棄や限定承認を検討している場合は、3ヶ月以内という期限があるため、速やかに調査を開始する必要があります。

その理由は、以下の点が挙げられます。

相続財産調査は自分で行うのが大変?

相続財産調査は、一つ一つ財産を調べて価額を確定させるという、非常に地道な作業です。

想像以上に時間と手間がかかるため、多くの人が大変だと感じています。

以下のようなケースでは、専門家への依頼を検討した方が良いでしょう。

相続放棄ができる期限は、「相続があることを知ってから(=亡くなったことを知ってから)3ヶ月以内」です。

つまり、マイナスの財産もふくめて調べ上げ、「相続放棄するか、しないか」を意思決定するまでに、たった3カ月しかないのです。

相続放棄には、申請書の記入や必要書類の収集など、手続きにも時間がかかるため、財産調査は亡くなってから2ヶ月以内に終わらせるのが望ましいでしょう。

まとめ:専門家への相談で安心の相続手続きを

相続は、人生における大きな転換期です。専門家のサポートを得ることで、複雑な手続きをスムーズに進め、新たな人生のスタートを切るための時間を確保することができます。

司法書士や税理士といった専門家への相談は、決して無駄にはなりません。まずは、お気軽にご相談ください。

相続が発生した時、まず行わなければならないのが相続人調査です。

「相続人なんて、家族だけじゃないの?」

そう思われる方もいるかもしれません。しかし、相続関係は複雑で、思わぬところに相続人がいるケースも少なくありません。

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。もし、協議後に新たな相続人が判明した場合、協議は無効となり、やり直す必要があります。

「うちの相続人はこれだけだ」と思い込まず、必ず相続人調査を行いましょう。

この記事では、相続人調査の必要性から、具体的な調査方法、専門家への依頼について解説します。

ぜひ、読み進めてみてください。

相続人調査はなぜ必要なのか?

相続が発生した際、まず取り掛かるべきは相続人の確定です。

「相続人なんて、家族だけじゃないの?」

そう思われる方もいるかもしれません。しかし、相続関係は複雑で、思わぬところに相続人がいるケースも少なくありません。

【ポイント】遺産分割協議は「相続人全員」で行う必要があります。

もし、遺産分割協議後に新たな相続人が判明した場合、協議は無効となり、やり直す必要があります。

「うちの相続人はこれだけだ」と思い込まず、必ず相続人調査を行いましょう。

実際、被相続人の前妻・前夫との間に子がいたことが判明するケースも少なくありません。その場合は当然、遺産分割協議のやり直しになります。

相続人調査をしないと起こるトラブル

相続人を確定しないまま相続手続きを進めると、後々様々なトラブルが発生する可能性があります。具体的にどのようなトラブルが起こりうるのか、以下に詳しく解説します。

①遺産分割協議の無効

繰り返しますが、遺産分割協議は、相続人全員の合意によって成立します。

もし、相続人調査を怠り、一部の相続人を除外した状態で遺産分割協議を行った場合、その協議は無効となります。

後日、除外されていた相続人が現れた場合、遺産分割協議をやり直す必要が生じ、時間や費用がかかるだけでなく、相続人間で感情的な対立が生じる可能性もあります。

②相続税申告の誤り

相続税は、相続財産の総額や相続人の数によって計算されます。

相続人を確定せずに相続税申告を行うと、相続人の数を誤って申告してしまう可能性があります。

これにより、相続税額が過少申告となったり、税務調査を受ける原因となったりする可能性があります。

③不動産登記の不備

不動産を相続した場合、法務局で相続登記を行う必要があります。相続登記には、相続人全員の同意が必要です。

相続人を確定せずに登記を行うと、後日、登記に不備が見つかり、登記をやり直す必要が生じる可能性があります。

④金融機関での手続きの遅延

金融機関(銀行、証券会社など)で相続手続きを行う際、相続人であることを証明するために、戸籍謄本などの書類提出を求められます。

相続人が確定していないと、金融機関での手続きがスムーズに進まず、預金や有価証券の払い戻しなどが遅延する可能性があります。

⑤相続争いの激化

相続人調査を怠ると、遺産分割協議の際に、相続人間で意見の対立が起こりやすくなります。特に、遺産分割の割合や方法について合意が得られない場合、相続争いが激化する可能性があります。

⑥相続人調査のやり直し

相続手続きを進める中で、相続人の漏れが発覚した場合、それまでに行った手続きを全てやり直す必要が生じます。これにより、時間や費用が余計にかかるだけでなく、精神的な負担も大きくなります。

相続手続きのなかで「相続人調査」は一番大変?その理由とは

相続が始まると、残された家族は様々な手続きに追われます。

葬儀後、ひと息つく間もなく、健康保険の返還、年金手続き、遺言書確認、そして相続人調査など、やらなければならないことが山積みです。

特に、今回のテーマである「相続人調査」が一番面倒な手続きであり、自分たちで行おうとすると挫折しやすいものだといわれています。

相続人調査が大変な理由は、主に以下の3つが挙げられます。

①戸籍の形式と記載方法の複雑さ

戸籍には様々な形式があり、それぞれ記載内容や方法が異なります。古い戸籍は手書きの毛筆体で書かれているため、判読が非常に困難です。

②古い戸籍の判読の難しさ

明治時代の戸籍などは、現代の戸籍とは形式が大きく異なり、専門家でなければ内容を理解するのは難しいでしょう。

③戸籍の種類と意味の理解

戸籍には、「現在戸籍」「除籍」「原戸籍」の3種類があり、それぞれ意味が異なります。これらの違いを理解し、適切に使い分ける必要があります。

④他にもある!戸籍を取得する大変さ

【今では存在しない地名がある】

市町村合併などで消滅した地名が出てくることがあり、その都度、古い戸籍を保管している

役所を探し出す必要があります。

【複雑な親族関係】

子のいない人の相続、再婚者の相続、養子縁組など、相続関係が複雑な場合は、戸籍の収集・解読作業がさらに困難になります。

相続人調査の基本手順

①戸籍謄本の取得

まずは被相続人の本籍地の市役所にて、戸籍謄本(または除籍謄本)を取得します。

被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得する必要があります。

②戸籍の調査

取得した戸籍謄本の内容を確認し、相続人となるべき人物を洗い出します。

古い戸籍謄本は手書きで読みにくい場合や、記載内容が現代の戸籍と異なる場合があります。

③相続関係説明図の作成

調査結果をもとに、相続関係説明図を作成します。

相続人の氏名、続柄、住所、生年月日などを記載し、被相続人との関係性を明確にします。

これは必須書類ではありませんが、相続関係を明確にする上で役立ちます。

【相続人調査に必要な戸籍】

戸籍謄本戸籍原本に記載されている内容の全てを写したものです。
除籍謄本戸籍に記載されていた人が全員いなくなり、閉鎖された戸籍の写しです。
改製原戸籍戸籍法の改正前に作られた古い様式の戸籍です。

【戸籍収集の注意点】

相続人調査は自分でやる?それとも専門家?状況別判断のポイント

自分で相続手続きができる条件

以下の条件をすべて満たす場合は、ご自身で相続手続きを行っても問題が発生しにくいでしょう。

専門家への依頼を検討すべきケース

以下のいずれかに当てはまる場合は、専門家(弁護士、司法書士、行政書士など)に相続人調査を依頼することをおすすめします。

【相続人が誰かわからない場合】

相続関係が複雑で、誰が相続人になるのか把握しきれない場合。

【連絡が取れない相続人がいる場合】

この場合、戸籍を辿って本籍地を調査する必要がありますが、これは個人で行うには困難です。また、連絡が取れない相続人がいる場合、後の相続争いも予測されます。

【被相続人が転籍を繰り返している場合】

被相続人が市区町村をまたぐ転籍を繰り返している場合、各市区町村から戸籍を取り寄せる必要があり、非常に手間がかかります。

【遠方から書類を取り寄せる必要がある場合】

被相続人の以前の本籍地が遠方の場合、郵送で書類を取り寄せる必要がありますが、慣れていないと手間がかかります。

【相続人が兄弟姉妹や甥姪である場合】

相続人が被相続人の兄弟姉妹や甥姪である場合、相続人調査で取り寄せるべき書類が多くなります。

相続人調査は誰に依頼するべき?専門家ごとに紹介

相続人調査の専門家には、弁護士、税理士、司法書士、行政書士がいます。それぞれ専門分野が異なるため、相談内容に合わせて適切な専門家を選ぶことが大切です。

弁護士:協議で揉めているときには頼りになる

弁護士は「法律のプロ」であり、相続に関するあらゆる法律問題を取り扱います。特に、遺産分割協議が難航している場合や、相続人同士で争いが起きている場合など、法的なトラブルが発生した際には、弁護士に相談するのがおすすめです。

【弁護士に依頼した方が良いケース】

税理士:お金の不安を丸ごとおまかせ

税理士は「税金の専門家」であり、相続税の申告や節税対策など、相続税に関する相談に乗ってくれます。相続税の申告が必要な場合や、節税を考えている場合は、税理士に相談するのがおすすめです。

【税理士に依頼した方が良いケース】

司法書士:相続人調査のプロフェッショナル

司法書士は、不動産登記や相続放棄の手続きなど、法務局や裁判所に提出する書類作成の専門家です。不動産の名義変更が必要な場合や、相続放棄を検討している場合は、司法書士に相談するのがおすすめです。

【司法書士に依頼した方が良いケース】

行政書士:「あとは書類作成だけ」のときに頼りになる

行政書士は、遺言書作成や遺産分割協議書作成など、相続に関する書類作成を代行します。相続手続きがスムーズに進んでおり、書類作成の代行やアドバイスだけで十分な場合は、行政書士に依頼するのも良いでしょう。

【行政書士に依頼した方が良いケース】

まとめ:専門家への相談で安心の相続手続きを

相続は、人生における大きな転換期です。専門家のサポートを得ることで、複雑な手続きをスムーズに進め、新たな人生のスタートを切るための時間を確保することができます。

司法書士や税理士といった専門家への相談は、決して無駄にはなりません。まずは、お気軽にご相談ください。

相続手続きは司法書士に頼まないで自分で出来る?やり方・専門家に頼む場合のメリットを解説。

「相続手続きをできるだけお金をかけずに済ませたい」

「自分で手続きを行うのは、実際どれだけ現実的なのだろう?」

「トータルで考えたら、自分で行う場合と司法書士に頼む場合とで、メリットはどちらにあるのだろう?」

このような疑問や悩みを持つ方に向けて、札幌市内でも受託実績がトップの札幌大通遺言相続センターが、これまでの経験をもとに、司法書士に頼むべきか、自分で行うべきかについて、第三者の立場で解説します。

まず先に結論を知りたい方のために、今回の内容をコンパクトにまとめました。下記を参考のうえで、本文を読み進めていくと、いっそう理解が深まるはずです。

司法書士に頼まず、自分で行うのが向いている人・時間がある人
・細かい作業が好きな人
・法律に興味がある人/詳しい人
・手間よりも費用を抑えたい人
司法書士に頼んだほうがいい人・時間が無い人
・複雑な相続のケース
・ストレスに弱い人
・法律に詳しくない人

相続手続きを司法書士に頼まないで行うことは可能

相続手続きは、原則としてご自身で行うことも可能です。しかし、相続の手続きは、法律に関する専門知識が必要な複雑な手続きであり、様々な注意点やリスクが伴います。

自分で行うメリット

【費用を抑えられる】

【手続きの流れを理解できる】

自分で行うデメリット

【専門知識の不足】

相続法は複雑で、常に改正される可能性があります。素人の方が全ての法律を把握するのは困難です。

【手続きの煩雑さ】

必要な書類の準備、法務局への手続きなど、煩雑な手続きが多数あります。

【時間的な制約】

相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があるため、時間的な制約があります。

【トラブルのリスク】

 誤った手続きをしてしまうと、後々トラブルに発展する可能性があります。

【精神的な負担】

相続は、感情的な側面も大きく関わってくるため、一人で全てを行うのは精神的な負担が大きい場合があります。

【費用対効果】

専門家に依頼する場合と比較して、必ずしも費用が安いとは限りません。時間や手間を考えると、専門家に依頼する方が効率的である場合があります。

相続手続きは、法律に関する専門知識が必要な複雑な手続きです。ご自身で行うことも可能ですが、司法書士に依頼することで、多くのメリットがあります。

相続手続きを司法書士に頼まず自分で行う際の流れ

①相続開始の確認

相続手続きの最初の一歩として、「被相続人の死亡を確認し、相続開始の日を特定する」という作業があります。これは、相続が開始されたことを法的に確定させる重要な手続きです。

被相続人の死亡を確認し、相続開始の日を特定するとは、具体的には、被相続人が亡くなった日、つまり「死亡日」を正確に把握することです。

【なぜ相続開始日を特定する必要があるのか?】

【相続開始日の特定方法】

相続開始日を特定する方法は、以下のものが一般的です。

【相続開始日が分からない場合】

死亡日がはっきりしない場合、以下の方法で確認することができます。

②相続人の確定

戸籍謄本などを基に、相続人を特定します。

相続人の確定とは、亡くなった方(被相続人)の財産を誰が相続するのかを法律に基づいて明確にする手続きのことです。

つまり、誰が相続人になり、どのくらいの割合で財産を相続するのかを確定させる作業です。

【なぜ相続人の確定が必要なのか?】

【相続人の確定方法】

一般的には、以下の方法で相続人を確定します。

戸籍謄本等の収集被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得し、相続人の関係性を確認します。
法定相続人の特定民法に定められた法定相続人の順位に基づき、相続人を特定します。
遺産分割協議相続人全員で集まり、遺産の分割方法について協議し、遺産分割協議書を作成します。

【相続人となる人】

相続人となる人は、法定相続人と呼ばれる場合と、遺言によって指定された相続人の場合があります。

※相続人の確定が複雑になるケース※

③遺産の調査

遺産の調査とは、被相続人が残した財産をすべて洗い出し、その内容と価値を把握することを指します。

【遺産分割協議のポイント】

【なぜ遺産の調査を行うのか?】

【調査するべき財産】

【遺産調査の方法】

④遺産分割協議

遺産分割協議とは、亡くなった方(被相続人)の遺産を、相続人全員で話し合い、どのように分けるかを決める手続きのことです。

【遺産分割協議が必要な理由】

亡くなった方の財産は、相続人全員の共有となります。この共有状態を解消し、各相続人がそれぞれ自分の相続分となる財産を取得するためには、遺産分割協議を行う必要があります。

【遺産分割協議の内容】

遺産分割協議では、以下の内容について話し合います。

分割する財産不動産、預金、株式など、相続財産を具体的に特定します。
各相続人の相続分法定相続分に基づいたり、遺言の内容に従ったりして、各相続人の相続分を決定します。
分割方法現物分割(財産をそのまま分割)、換金分割(財産を売却して現金で分割)など、分割方法を決定します。

【遺産分割協議書について】

遺産分割協議の結果をまとめた書面を「遺産分割協議書」といいます。この書類を作成することで、遺産の分割について法的な効力が生じます(詳細は後述します)。

【遺産分割協議がスムーズに進まない場合】

話し合いがまとまらない場合: メディエーターや弁護士などの第三者の力を借りることも可能です。どうしても合意できない場合は、家庭裁判所に遺産分割の審判を申し立てることができます。

⑥遺産分割協議書の作成

遺産分割協議書とは、相続人全員が話し合い、遺産をどのように分けるかを決めた内容をまとめた書面のことです。いわば、遺産分割の契約書のようなものです。

遺産分割協議書に記載する内容
被相続人の情報死亡年月日、最後の住所など。
相続人の情報全員の氏名、住所、相続分
遺産の内容分割する財産を具体的に記載します(不動産、預金、株式など)。
分割方法現物分割、換金分割など、分割方法を具体的に記載します。
協議日協議を行った日付。
署名相続人全員の署名・捺印

⑦相続登記

遺産分割協議が終わったら、続いて相続登記です。

相続登記とは、亡くなった方の不動産の名義を、相続人に変更する手続きのことです。相続登記を行わないと、相続した不動産を自由に処分することができません。また、相続税の申告が遅れる可能性があります。

下記の書類を持って、相続対象の不動産が所在する地域の法務局へ申請します。

必要書類の準備
登記申請書法務局で交付される所定の用紙です。
遺産分割協議書相続人全員が署名・捺印したものでなければなりません。
戸籍謄本被相続人および相続人の戸籍謄本が必要です。
住民票被相続人および相続人の住民票が必要です。
固定資産評価証明書相続財産となる不動産の評価額が記載された証明書です。
印鑑証明書相続人全員の印鑑証明書が必要です。

⑧相続税の申告

相続税が発生する場合、税務署に申告を行います。

相続税の申告とは、亡くなった方(被相続人)から財産を受け継いだ人が、その受け取った財産に対してかかる税金である相続税を税務署に申告し、納税する手続きのことです。

【相続税申告が必要な場合】

一般的に、相続財産の評価額が基礎控除額を超える場合に、相続税の申告が必要となります。基礎控除額は、相続人の人数や親族関係によって異なります。

【相続税申告の手続きの流れ】

  1. 相続財産の調査:不動産、預金、株式など、被相続人が残した財産をすべて洗い出します。
  2. 相続人の確定:戸籍謄本などを基に、相続人を特定します。
  3. 財産の評価:各財産の評価額を算出します。
  4. 相続税額の計算:相続税額を計算します。
  5. 申告書の作成:税務署に提出する相続税申告書を作成します。
  6. 申告書の提出:作成した申告書を、被相続人の最後の住所地の税務署に提出します。
  7. 納税:計算された相続税額を納付します。

【相続税申告の注意点】

相続手続きを司法書士に頼むメリット

以上みてきたように、相続手続きを自分で行うメリット・デメリットを比較したうえで、あらためて相続手続きのプロである司法書士に依頼するメリットをみてみましょう。

先に結論をいうと、「自分で相続手続きを行う際の大変さ・煩わしさを、お金で解決できるなら満足度が高い」と考える方なら、司法書士に依頼したほうがいいです。

専門知識相続法に関する専門知識を持ち、正確な手続きを行います。
手続きの代行煩雑な手続きを代行してくれるため、時間と手間を省けます。
トラブル防止誤った手続きをしてしまうリスクを軽減できます。
安心感専門家に任せることで、安心して手続きを進めることができます。
迅速な手続き経験豊富な司法書士は、スピーディーに手続きを進めることができます。
多角的な視点相続は、法律だけでなく、税金や不動産など、様々な側面があります。司法書士は、多角的な視点から問題解決をサポートします。
精神的な負担軽減相続は、感情的な側面も大きく関わってくるため、一人で全てを行うのは精神的な負担が大きい場合があります。司法書士に依頼することで、その負担を軽減できます。

司法書士に頼むとどんなサポートを受けることができるのか

相続人調査戸籍謄本などを収集し、相続人を特定します。
遺産調査不動産、預金、債務など、相続財産を漏れなく調査します。
遺産分割協議書の作成相続人全員の合意に基づき、遺産をどのように分割するかをまとめた書面を作成します。相続登記: 不動産の名義変更手続きを行います。
相続税申告税理士と連携し、相続税の申告書を作成します。
各種書類の作成戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書など、必要な書類を揃えます。
法務局への手続き登記申請などの手続きを代行します。
銀行手続き預金口座の解約手続きなど、銀行手続きを代行します。
相続放棄の手続き相続を放棄したい場合の手続きを行います。
遺産分割協議のサポート相続人同士の紛争を仲裁し、円満な解決を目指します。

さいごに:相続税に関することなら税理士に相談しよう

以上みてきたように、相続手続きに関して、「相続登記」やその他もろもろの書類手続きに関しては、司法書士に頼むのが一般的です。

一方で、相続財産の価値の評価や、相続税の計算などは、税理士に相談するのが賢明です。

トータルで相談手続きを行う場合は、たとえば「税理士と連携している司法書士」に頼むとよいでしょう。

相続放棄申述書の書き方:手続きの流れ・自分で行う方法・プロに依頼するメリットを紹介。

相続は、人生の大きな出来事の一つです。しかし、中には、相続を放棄したいと考える方もいらっしゃるでしょう。相続放棄には、様々な手続きが必要となります。

ご家族の不幸な出来事の後、相続手続きに直面し、心身ともに疲れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、相続放棄申述書について、その作成から提出までの流れを詳しく解説します。

相続放棄申述書とは

相続放棄申述書とは、相続を放棄したい場合に家庭裁判所に提出する書類です。相続放棄とは、被相続人の財産だけでなく、債務も全て放棄することを意味します。

相続放棄は、一度行うと原則として取り消すことができません。

【相続放棄を検討したほうがいいケース】

【メリット】

【デメリット】

相続放棄申述書は自分で書ける

相続放棄申述書は、ご自身で作成することは可能です。しかし、いくつかの注意点があります。

【自分で作成する場合のメリット】

【自分で作成する場合のデメリット】

相続放棄申述書の書き方

相続放棄申述書は、相続を放棄したい場合に家庭裁判所に提出する書類です。専門的な知識が必要な書類ですので、ご自身で作成する場合は、十分に注意が必要です。

【相続放棄申述書を作成する際の注意点】

相続放棄申述書に記載する主な事項

申述人相続を放棄する人の情報(氏名、住所など)
被相続人亡くなった方の情報(氏名、住所など)
相続開始を知った日相続開始を知った日付
放棄の理由相続を放棄する理由(例:債務が多いなど)
相続財産の概略相続財産の内容(不動産、預金など)を簡単に記載

インターネットや書籍などで、相続放棄申述書の書き方に関する情報が多数公開されています。

しかし、個々のケースによって必要な情報や記載内容は異なるため、必ずしも同じ書式で作成できるわけではありません。

相続放棄申述書の作成手順

  1. 家庭裁判所の調査:管轄の家庭裁判所を調べ、必要な書類などを確認します。
  2. 様式入手:家庭裁判所で所定の様式を入手するか、インターネットからダウンロードします。
  3. 必要事項の記入:上記で挙げた事項を漏れなく正確に記入します。
  4. 添付書類の準備:戸籍謄本、住民票、遺産分割協議書(ある場合)など、必要な書類を準備します。
  5. 提出:作成した申述書と添付書類を、管轄の家庭裁判所に提出します。

相続放棄申述書の入手方法

相続放棄申述書は、家庭裁判所で所定の用紙を入手することができます。ただし、家庭裁判所の窓口によって、用紙の入手方法や必要な手続きが異なる場合があります。

家庭裁判所の窓口で直接入手する

亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所の窓口に直接行き、相続放棄申述書を請求します。

この場合、必要な書類や手続きについて、窓口の職員から直接説明を受けることができます。

家庭裁判所のホームページからダウンロードする

多くの家庭裁判所では、ホームページ上で相続放棄申述書をダウンロードできるようになっています。

裁判所のホームページで「相続放棄申述書」と検索するか、「様式」などのページから探してみましょう。

司法書士に依頼する

司法書士に相続放棄の手続きを依頼する場合、司法書士が用意した申述書を使用することも可能です。

【司法書士とは】

司法書士は、国民の権利や義務に関する権利義務証明書を作成したり、不動産登記などの権利に関する登記申請を行うことを業務とする国家資格者です。特に、相続に関する手続きにおいては、その専門性が高く、多くの人の頼りになる存在となっています。

相続放棄申述書の必要書類

相続放棄申述書を作成する際に必要な書類は、状況によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要となります。

相続放棄申述書家庭裁判所で定められた所定の用紙です。
被相続人の住民票除票または戸籍附票被相続人の最後の住所地の役場で取得します。
申述人の戸籍謄本相続を放棄する人の戸籍謄本です。
被相続人の戸籍謄本被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本が必要です。
収入印紙申述書に貼付する収入印紙が必要です。金額は裁判所によって異なります。
切手返信用封筒に貼付する切手が必要です。

【その他必要な書類】

相続放棄申述書を作成・提出時の注意点

相続放棄申述書の作成・提出は、専門的な知識が必要な手続きであり、間違えると取り返しのつかないことになりかねません。そのため、慎重に進める必要があります。

【期限厳守】

相続開始を知った日から3ヶ月以内に手続きを行う必要があります。期限を過ぎると、相続が開始されたとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。

【内容の正確性】

記載事項に誤りがあると、申述が無効になる可能性があります。特に、被相続人や申述人の情報、相続開始を知った日などは、正確に記載しましょう。

【必要な書類の提出】

戸籍謄本、住民票など、必要な書類を漏れなく提出しなければなりません。

【管轄裁判所の確認】

亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出する必要があります。

【専門用語】

法律用語が多く使用されるため、専門用語の意味を理解しておくか、専門家に相談しましょう。

相続放棄申述書の代筆について

相続放棄申述書は、ご自身で作成することも可能ですが、専門的な知識が必要な書類であり、誤った記載があると手続きがスムーズに進まない可能性があります。そのため、司法書士などの専門家に依頼するのが一般的です。

【代筆を依頼できる専門家】

【代筆してもらうメリット】

【認知症の場合は代筆不可】

認知症の方が判断能力を十分に持っていないと判断された場合は、家庭裁判所によって成年後見人が選任されます。この場合、成年後見人が代筆することになります。

相続放棄申述書の作成・提出は専門家に依頼しよう

相続放棄は、人生において大きな決断を伴う手続きです。複雑な法律知識が必要であり、間違えると取り返しのつかない事態になる可能性もあります。

そのため、相続放棄申述書の作成・提出は、専門家である司法書士に依頼することが一般的です。

もちろん、多少の費用はかかりますが、「書類の用意・作成・提出のプロセスを丸投げできる」と考えれば、価値のある支出とみることもできます。「手間と時間の節約をお金で買う」というイメージですね。

司法書士の選び方のポイントは、なんといっても明朗会計であることです。具体的に費用がわかれば、予算の検討がしやすく、依頼するかどうかを合理的に判断できます。

札幌大通遺言相続センターでは、52,800円(税込)~から相談放棄のサポートを行っています。詳しく知りたい方は、お気軽にお問い合わせください!

相続相談は司法書士と税理士どちらがいい?両者の比較・選び方のポイントを分かりやすく解説します。

相続は、人生における大きなイベントの一つであり、専門家のサポートが必要となるケースが少なくありません。相続に関する手続きは複雑多岐にわたるため、誰に相談すれば良いのか迷う方も多いでしょう。

そこで、相続相談について、登記と遺産という観点から、司法書士と税理士の役割を明確にし、あなたが適切な専門家を選べるよう、解説します。

まずは以下に、司法書士と税理士の特徴・役割を比較した表を整理しました。この表をみたうえで、記事を読み進めると、いっそう理解が深まります。

司法書士税理士
主な業務不動産登記、遺産分割協議書の作成、遺言執行など相続税の申告、税務相談、節税対策など
専門分野民法、不動産登記法など税法、特に相続税法
資格司法書士試験合格者税理士試験合格者
強み登記手続きの専門家、遺産分割協議のサポート相続税の計算、節税対策の提案
相続相談手続きにおける役割不動産の名義変更、遺産分割協議書の作成、遺言執行など相続税の申告、納付、節税対策
相談内容の例不動産の名義変更の手続き、遺産分割の方法、遺言書の作成相続税の計算方法、節税対策、相続税の申告書の作成

相続手続きにおける司法書士と税理士の役割

相続は、人生における大きなイベントの一つであり、様々な手続きが必要となります。この手続きをスムーズに進めるためには、司法書士と税理士という二つの専門家の役割を理解することが重要です。

司法書士の役割

司法書士は、主に不動産の名義変更や遺産分割協議書の作成など、法的な手続きを専門とする国家資格者です。相続手続きにおいて、司法書士は以下のような業務を行います。

相続登記亡くなった方の不動産の名義を相続人に変更する手続き
遺産分割協議書の作成相続人全員が合意した内容をまとめた書面を作成する
遺言執行遺言書の内容に基づき、遺産分割を行う
相続放棄の手続き相続を放棄したい場合の手続き

税理士の役割

税理士は、相続税の申告・納付を専門とする国家資格者です。

相続税は高額になる場合が多く、専門的な知識が必要となります。税理士は、以下のような業務を行います。

相続税の申告書の作成相続財産の評価額を算出し、相続税額を計算し、申告書を作成します。
相続税の節税対策合法的な範囲内で相続税を減らすための対策を提案します。
税務調査への対応税務署から調査が入った場合に対応します。

【判断のポイント】司法書士と税理士、どちらに相談すればいいの?

以下に、もう少し具体的なケースで、司法書士と弁護士どちらに相談するべきか判断するか整理しました。

ケース誰に相談?理由
亡くなった方の不動産を相続する場合司法書士不動産の名義変更手続きが必要だから
高額な遺産があり、相続税が心配な場合税理士相続税の申告・節税対策が必要だから
相続人が複数いて、遺産分割で揉めている場合司法書士(または弁護士)遺産分割協議書の作成、法的な紛争解決が必要だから

相続登記は司法書士へ!

あらためて、司法書士が得意とする領域「相談登記」についてみていきましょう。

相続登記とは

相続登記とは、亡くなった方の不動産の名義を、相続人に変更する手続きのことです。具体的には、法務局に登記申請を行い、不動産登記簿に所有者情報を変更する手続きとなります。

【相続登記が必要な理由】

相続登記の種類と手続きの流れ

相続登記の種類

相続登記には、大きく分けて以下の3種類があります。

【法定相続分による相続登記】

遺言がない場合に、法律で定められた相続分に基づいて相続が行われるケースです。

各相続人が、自分の相続分に応じた割合で不動産を取得します。

【遺産分割協議による相続登記】

相続人全員が話し合い、遺産をどのように分割するかを決める場合です。

遺産分割協議書を作成し、その内容に基づいて登記を行います。

【遺言による相続登記】

亡くなった方が遺言を残している場合、遺言の内容に従って相続が行われます。

相続登記の手続きの流れ

  1. 相続人の確定:戸籍謄本などを基に、相続人を特定します。
  2. 遺産の調査: 亡くなった方の財産(不動産、預金など)を全て調査します。
  3. 遺産分割協議:相続人全員で集まり、遺産の分割方法について協議し、遺産分割協議書を作成します。
  4. 必要書類の準備:遺産分割協議書、戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書、印鑑証明書などを用意します。
  5. 法務局への申請:準備した書類を持って、管轄の法務局へ登記申請を行います。

相続登記に必要な書類

相続登記の注意点

相続登記を自分でするのが難しい理由

相続登記は、自分で行うことができます。

しかし法律に関する専門知識が必要な手続きであり、自分で行うには様々な困難が伴います。その主な理由を以下に詳しく解説します。

【法律知識の不足】

複雑な法律: 相続に関する法律は非常に複雑で、常に改正される可能性もあります。素人の方には、全ての法律を把握するのは困難です。

【専門用語】

登記申請に必要な書類や用語は、法律用語が多く、一般の方には理解しづらいものが多くあります。

【解釈の難しさ】

法律の解釈は、ケースによって異なる場合があります。専門家でない限り、正しい解釈をするのは難しいです。

【手続きの煩雑さ】

必要な書類が多く、種類も多岐にわたります。戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書など、様々な書類を揃える必要があります。

【時間的なコスト】

相続登記には一定の期間がかかります。手続きに慣れていない人が自分で行うと、余計に時間がかかってしまう可能性があります。

【相続に関するトラブル】

相続人とのトラブル: 相続人が複数いる場合、遺産分割でトラブルになる可能性があります。

【不動産の評価額】

不動産の評価額が正確に行われないと、相続税額に影響が出る可能性があります。

司法書士を選ぶポイント

相続登記は、一生に一度あるかないかの大きな手続きです。そのため、信頼できる司法書士を選ぶことは非常に重要です。司法書士を選ぶ際のポイントをいくつかご紹介します。

【相続手続きの経験が豊富か】

相続登記の経験が豊富であれば、スムーズに手続きを進めることができます。

相続に関する専門知識が豊富で、複雑なケースにも対応できる可能性が高いです。

【親身になって相談に乗ってくれるか】

相続は、感情的な側面も大きく関わってくる手続きです。自分の話を丁寧に聞いてくれ、親身になって相談に乗ってくれる司法書士を選びましょう。

【説明が分かりやすいか】

法律用語を使わずに、分かりやすく説明してくれる司法書士を選ぶことが大切です。相続手続きの流れや費用についても、丁寧に説明してくれるか確認しましょう。

【費用が明確か】

相続手続きにかかる費用は、事務所によって異なります。費用について事前にしっかりと確認し、納得できる範囲内で依頼できる司法書士を選びましょう。

【他の士業との連携】

税理士や弁護士など、他の士業と連携している司法書士は、相続手続きを総合的にサポートしてくれます。特に、相続税が発生する場合には、税理士との連携が重要になります。

遺産分割と相続税は税理士へ!

税理士が得意とする「遺産分割」「相続税」とはいったいなんなのでしょうか。

相続税とは

相続税とは、亡くなった方(被相続人)から財産を受け継いだ人が、その受け取った財産に対して支払う税金のことです。具体的には、現金、預金、不動産、株式など、金銭に換算できるすべての財産が対象となります。

相続が発生した場合、相続人は、原則として10ヶ月以内に税務署に相続税の申告を行う必要があります。申告が遅れると、延滞税などが課される可能性があります。

【相続税がかかる理由】

相続税は、財産が代々同じ家族に引き継がれていくことを防ぎ、社会全体の財産を分散させる目的で課せられています。また、相続によって生じる不公平感を是正し、社会全体の公平性を保つ役割も担っています。

相続税の申告と納付の流れ

相続が発生した場合、一定の財産を取得した相続人は、原則として10ヶ月以内に相続税の申告と納付を行う必要があります。

  1. 相続財産の調査:銀行口座、不動産、株式など、被相続人が残した財産を全て洗い出します。
  2. 債務も調査し、相続財産から差し引く必要があります。
  3. 相続人の確定:戸籍謄本などを基に、相続人を特定します。
  4. 遺産分割協議:相続人全員で協議し、遺産をどのように分割するかを決めます。
  5. 遺産分割協議書を作成します。
  6. 財産の評価:相続財産の評価額を算定します。不動産の評価は特に専門的な知識が必要となります。
  7. 相続税額の計算:相続税額は、相続財産の評価額から基礎控除額などを差し引き、税率を乗じて計算します。
  8. 申告書の作成:税務署に提出する相続税申告書を作成します。
  9. 税理士に依頼する場合、税理士が作成します。
  10. 申告書の提出:作成した申告書を、被相続人の最後の住所地の税務署に提出します。
  11. 納税:申告した相続税額を納付します。

【納付方法】

金融機関での納付➡納付書を用いて、金融機関で納付します。

電子納付➡インターネットバンキングなどを使って納付できます。

口座振替➡税務署に口座振替を依頼することも可能です。

【申告期限】

相続開始を知った日から10ヶ月以内が原則です。

【必要な書類】

相続税の申告を自分でするのが難しい理由

相続登記と同様に、法律解釈の難しさ、手続きの煩雑さ、時間的な制約などが、自分で手続きを完了させるハードルになっています。相続税の申告も、やはり専門家に依頼することを推奨します。

税理士を選ぶポイント

【相続税申告の実績】

相続税申告の実績が豊富かを確認しましょう。経験豊富な税理士は、複雑なケースにも対応できます。特に、高額な遺産の申告実績があるかを確認すると良いでしょう。

【専門性】

相続税に特化した専門知識を持っているか確認しましょう。相続税は法律改正が頻繁に行われるため、常に最新の知識を持っている税理士が理想です。

【コミュニケーション能力】

相続はデリケートな問題を伴うため、丁寧に説明してくれるか、相談しやすい雰囲気かどうかを確認しましょう。専門用語を使わず、分かりやすく説明してくれる税理士がおすすめです。

【費用】

相続税の申告費用は、税理士事務所によって異なります。費用だけでなく、どのような費用が含まれるのか、明細書を提示してくれるかなどを確認しましょう。

まとめ:専門家への相談で安心の相続手続きを

相続は、人生における大きな転換期です。専門家のサポートを得ることで、複雑な手続きをスムーズに進め、新たな人生のスタートを切るための時間を確保することができます。

司法書士や税理士といった専門家への相談は、決して無駄にはなりません。まずは、お気軽にご相談ください。

相続登記の費用はどれくらい?自分でする場合と司法書士に頼む場合を比較します。

「相続登記にかかる費用ってどれくらいなのだろう?」

「専門家に依頼すると、どれくらいの費用になるの?」

「本当は専門家に任せたいのだが、予算が足りるか心配」

このような疑問や悩みをもつ方に向けて、これまで相続登記の相談を数えきれないほど受けてきた札幌大通遺言相続センターが、客観的な立場で解説します。

まずは以下に、今回の内容を整理した表をご覧ください。

費用の構成費用相場
相続登記を自分で行う①登録免許税②必要書類の取得費用数千円~5万円
相続登記を司法書士に頼む①登録免許税②司法書士への報酬3万円~25万円

この表をふまえたうえで本文を読み進めていくと、内容の理解が深まるはずです。

必ず発生する相続登記の費用は主に2種類【自分で行う場合】

以下は、自分で相続登記を行う場合に、必ず発生する費用を紹介します。

①登録免許税

登録免許税とは、不動産、船舶、航空機、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定および技能証明について課税される税金のことです。

簡単に言うと、何かしらの権利や資格を取得したり、変更したりする際に、国に支払う税金のことです。

【不動産の場合の登録免許税】

税額は不動産の評価額に応じて決まります。固定資産税評価額の0.4%が一般的な計算方法です。ただし、住宅用建物など、一部の不動産については軽減税率が適用される場合があります。

②必要書類の取得費用

戸籍謄本、住民票などの取得費用相続人や被相続人の戸籍謄本、住民票などを取得する費用です。
登記簿謄本等の取得費用登記簿謄本や固定資産評価証明書などを取得する費用です。
印紙代登記申請書などに貼る印紙代が必要です。

相続登記を自分で行う場合の「見えない費用」も考慮しよう

以上、相続登記を自分で行う場合に発生する費用について紹介しました。

しかしここで注意が必要です。

相続登記は、

といった、目に見えない費用も発生しているのです。

わかりやすくいえば、「時間」というコストです。

これを経済学では「機会費用」といいます。

機会費用とは、ある選択肢を選んだ際に、選ばなかった他の選択肢から得られたであろう最大の利益のことを指します。つまり、あるものを得るために失ったものの価値のことです。

相続登記を自分で行うという選択は、登記にかかる様々な時間を犠牲にします。

休日を返上して作業しなければならない場合もあるでしょう。

法務局は土日は休みなので、わざわざ有給を使って平日に出向かなければなりません。

書類に不備があれば、また法務局に行く必要があります。

そもそも、書類を揃えるのも一苦労です。

バタついている間にも、相続登記の期限は刻一刻と迫ります。相続開始から「3年」という期限はありますが、忙しさにかまけて「あとでいいや」と先送りにしていると、あっという間にタイムリミットがやってくるものです。

このように、手間暇に費やす時間をトータルで考えると、精神的な側面を含めて、思っていたよりも費用が高くつくように思えます。

こういった手間・煩わしさを考えれば、お金を払って相続登記を0から10までプロに丸投げしたほうが、結果的に“得”であると考えることができますね。

相続登記は2024年4月から義務化になる

以上のことをふまえると、当然「相続登記を自分で行うのは、面倒そうだな……」と思った方もいることでしょう。

実際その通りで、相続登記の手続きを、司法書士などのプロにまかせる人が多いのが現状です。

しかし、プロにまかせるのも億劫、費用がかかるのは嫌だという理由で「相続登記をしない」という選択をとることはできません。

なぜなら相続登記は、2024年から義務化されたからです。

【相続登記の義務化の具体内容】

登記の期限相続開始を知った日から3年以内に登記手続きを行う必要があります。
罰則期限内に登記を行わない場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
過去の相続も対象2024年4月1日以前に相続が発生した場合も、2027年3月31日までに登記を行う必要があります。

つまり、どのみちわたしたちは、

の二択から一つを選ばなければならないのです。

プロに相談する場合に発生する費用

多くの場合、相続登記の手続きは、司法書士などのプロに依頼します。

なぜなら司法書士は、主に不動産の名義変更や遺産分割協議書の作成など、法的な手続きを専門とする国家資格者だからです。

司法書士への報酬は、不動産の評価額や手続きの複雑さによって異なります。

一般的に、土地と家屋1件あたり5万円~10万円が相場ですが、司法書士によって料金設定は異なります。複数の司法書士に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。

【司法書士に相続登記を依頼した場合の総費用】

登録免許税+必要書類を用意する費用+司法書士への報酬

相続登記の費用をシミュレーションしてみよう

例えば、固定資産税評価額が1,000万円の不動産を相続した場合、

登録免許税は約4万円(1,000万円×0.4%)となります。

司法書士報酬が10万円の場合、

合計で約14万円の費用がかかることになります。

その他、もろもろの雑費(書類を用意する費用など)は、司法書士によってバラつきがありますので、それについては当事者同士で相談するとよいでしょう。

※固定資産税評価額を知る方法※

①納税通知書を確認する

毎年4月頃に送付される固定資産税の納税通知書に、固定資産税評価額が記載された「課税明細書」が添付されています。この明細書を確認するのが最も簡単な方法です。

②固定資産税評価証明書を取得する

市区町村の役所で、固定資産税評価証明書を申請することで、詳細な評価額を確認することができます。

まとめ

相続登記にかかる費用は、不動産の評価額や手続きの複雑さによって異なりますが、登録免許税と司法書士報酬が主な費用となります。

費用を抑えたい場合は、自分でできる範囲の手続きを行うことも検討できます。しかし、専門的な知識が必要な手続きであるため、誤った手続きをしてしまうリスクも伴います。

専門家である司法書士に相談することで、安心して手続きを進めることができます。相続は、人生における大きな出来事の一つです。専門家のサポートを受け、スムーズに手続きを進めましょう。

未登記の建物を相続したらどうなる?手続きの流れを解説。

「相続した家が、実は未登記だった……」

そんな経験をされた方は、少なくないかもしれません。

不動産を取得した際には、必ず登記手続きを行うことが義務付けられています。

しかし、古い建物や相続によって引き継いだ不動産の中には、登記がされていないものが存在します。

未登記の建物は、様々な問題を引き起こす可能性があるため、相続した場合は早急に適切な手続きを行う必要があります。

この記事では、未登記の建物を相続した場合、どのような手続きが必要なのか、また、未登記の建物がもたらす影響について解説します。

未登記建物を相続したらどうなる?手続きの流れ

以下では、未登記の建物を相続した場合の一連の流れを手順ごとに解説します。

①相続人の決定と遺産分割

【相続人の確定】

まず、誰がその不動産を相続するのかを決めなければなりません。複数の相続人がいる場合は、遺産分割協議を行い、誰が建物を相続するかを決定します。

【遺産分割協議書の作成】

遺産分割協議の結果をまとめた「遺産分割協議書」を作成します。この書類は、後の手続きで必要になります。

②建物表題登記の申請

【登記簿の作成】

未登記の建物に初めて登記簿を作成する手続きです。

【必要な書類】

登記申請書、建物図面、建築確認通知書、相続人全員の戸籍謄本、遺産分割協議書など

【法務局への提出】

準備した書類を持って、建物の所在地を管轄する法務局に提出します。

③所有権保存登記の申請

【所有権の公示】

建物の所有者が誰かを公示する手続きです。

【必要な書類】

登記申請書、相続人の住民票、住宅用家屋証明書など

【登録免許税の納付】

この手続きには、登録免許税がかかります。

建物を未登記のまま放置しないほうがいい理由

①住宅ローンが組めない

最も大きなデメリットの一つです。未登記の建物は、銀行などの金融機関から見て、その価値や所有者がはっきりしないため、住宅ローンなどの融資を受けることができません。つまり、リフォームや建て替えをする際に、まとまったお金を用意する必要があります。

②売却が困難

未登記の建物を売却する場合、購入希望者も住宅ローンが組めないため、現金で購入できる人を探す必要があります。現金で購入できる人は限られていますので、売却に時間がかかったり、市場価格よりも安く売却せざるを得ない場合があります。

③相続手続きが複雑化する

相続が発生した場合、未登記の建物は、他の財産と比べて相続手続きが複雑になります。建物の図面や建築確認済証などが紛失している可能性もあり、相続人全員でこれらの書類を探し出さなければなりません。また、相続登記も通常の不動産と比べて時間がかかり、費用も高くなる可能性があります。

④固定資産税の評価が不利になる可能性

未登記の建物は、固定資産税の評価額が適正に行われていない可能性があります。結果として、本来支払うべき以上の固定資産税を支払っているケースも考えられます。

⑤災害時の対応が遅れる可能性

災害が発生した場合、建物の所有者が特定できないため、被災状況の把握や復旧作業が遅れる可能性があります。

未登記建物の相続手続きは自分でやるか、専門家に任せるか?

未登記の建物を相続した場合、登記手続きが必要になります。

この手続きを自分で行うか、専門家(司法書士など)に依頼するか、迷う方も多いでしょう。

自分で行うべき人プロに依頼すべき人
時間に余裕がある法律に関する知識がある程度ある費用を極力抑えたい
時間がない法律に関する知識がない間違いなく手続きを進めたい安心して手続きを進めたい複雑なケース(共有持分がある、抵当権が設定されているなど)

一般的には、専門知識が必要な手続きであり、ミスが許されないことを考えると、プロに依頼することをおすすめします。

どちらを選ぶべきか、以下ではそれぞれのメリット・デメリットを比較しながら解説します。

自分で行う場合のメリット・デメリット

【メリット】

【デメリット】

プロに相談する(依頼する)場合のメリット・デメリット

【メリット】

【デメリット】

プロに依頼するため、一定の費用がかかる

おわりに:未登記建物を相続したら早めに対処を

未登記の建物を相続した場合、早急に登記手続きを行うことが重要です。

未登記のままでは、売却や相続、融資など、不動産に関わる様々な手続きに支障をきたす可能性があります。

登記手続きは、法律に関する専門的な知識が必要なため、自分で行うのは難しいケースが多いです。司法書士などの専門家に相談することで、正確かつスムーズに手続きを進めることができます。

大切なのは、ご自身の状況に合わせて、最適な方法を選ぶことです。

もし、ご自身で手続きを行うのが難しい場合は、まずは司法書士にご相談ください。

所有権移転の登記は自分でやるべき?専門家に任せるべき場合とは?実際の手続き方法や判断基準を解説。

所有権移転登記は、不動産の所有者が変わったことを、正式に記録する手続きです。私たち人間が戸籍で管理されているように、不動産も登記簿というもので管理されています。

この登記簿に、誰がその不動産の本当の持ち主なのかを書き換えるのが、所有権移転登記です。

【所有権移転登記が必要となる主なケース】

不動産の売買不動産を売却したり、購入したりする場合には、必ず所有権移転登記が必要です。売主と買主が共同で手続きを行うのが一般的ですが、司法書士に依頼することで、手続きをスムーズに進めることができます。登記を行わないと、二重売買などのトラブルに繋がる可能性があります。
贈与生前贈与で不動産を贈与したり、贈与を受けたりする場合にも、所有権移転登記が必要です。贈与登記を行わないと、相続の際に手続きが複雑になったり、トラブルの原因となる可能性があります。
離婚時の財産分与夫婦が離婚する際、これまで築き上げてきた財産を公平に分けることを「財産分与」といいます。財産の中には、不動産も含まれることが多く、この場合、誰の所有にするかを決め、所有権移転登記の手続きを行う必要があります。
相続2024年4月1日から、相続登記が義務化されました。期限内に手続きを行わないと、過料が課される可能性があります。

さてこのとき、「所有権移転登記は自分でできるのか?」という疑問があることでしょう。

事実をいえば、所有権移転登記を自分で行うことは可能です。

ただし、専門知識や書類作成の技術が求められるため、自分で行う場合は、やや大変です。

たいていの人は、弁護士や司法書士などのプロに依頼して、手間と時間をかけない楽な選択をとっています。

この記事では、所有権移転登記を自分で行う場合の具体的な流れや、「そもそも自分でやるべきか、専門家に任せるべきか」を判断する基準について解説します。

所有権移転登記を自分で行う5つのステップ

不動産の売買や相続など、不動産の所有者が変わるときには、所有権移転登記の手続きが必要になります。この手続きは、自分で行うことも可能です。

①登記事項証明書の取得

まず、登記簿謄本と呼ばれる、不動産の登記内容が記載された書類を取得します。これは、不動産の現況を把握するために必要です。

取得方法: 法務局窓口、オンライン、郵送

②必要書類の準備

登記申請に必要な書類を揃えます。具体的には、次のようになります。

③管轄の法務局へ申請

準備した書類を持って、不動産の所在地を管轄する法務局へ出向き、登記申請を行います。「登記ねっと」を利用して、オンラインで申請することも可能です。

④法務局による審査

提出された書類が法的に問題ないか、法務局が審査します。審査期間は、通常、1~2週間程度かかります。

⑤登記完了

審査に問題なければ、登記が完了し、「登記完了証」と「登記識別情報通知書」を受け取ります。

所有権移転登記の必要書類まとめ

所有権移転登記の手続きには、以下の必要書類があります。もし自分で所有権移転登記を行う場合は、チェックリストとしてお使いください。

もし、自分で手続きを行うのが難しい場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。 司法書士は、専門知識をもとに、正確かつスピーディーに手続きを進めてくれます。

【共通して必要な書類】

①売買の場合

登記申請書法務局で入手
本人確認書類運転免許証など
印鑑証明書実印を押印したもの
登記識別情報または権利証不動産の権利を示す書類
固定資産評価証明書市区町村で発行
住民票本人および配偶者のもの
委任状司法書士に手続きを委託する場合
売買契約書売買の事実を証明する書類

【ポイント】

売買契約書が必須です。不動産業者を通じて手続きを進める場合は、事前に必要な書類について指示を受けることができます。

②贈与の場合

登記申請書法務局で入手
本人確認書類運転免許証など
印鑑証明書実印を押印したもの
登記識別情報または権利証不動産の権利を示す書類
固定資産評価証明書市区町村で発行
住民票本人および配偶者のもの
委任状司法書士に手続きを委託する場合
贈与契約書贈与の事実を証明する書類

【ポイント】

 贈与契約書の作成が重要です。口約束では認められない場合があるため、必ず書面で残しましょう。

③相続の場合

登記申請書法務局で入手
相続人全員の本人確認書類運転免許証など
印鑑証明書実印を押印したもの
故人と相続人それぞれの戸籍謄本相続関係を証明
遺産分割協議書または遺言書相続の経緯を証明
登記識別情報または権利証不動産の権利を示す書類
固定資産評価証明書市区町村で発行
住民票相続人全員のもの
委任状司法書士に手続きを委託する場合

【ポイント】

相続人は複数いる場合が多く、手続きが複雑になる可能性があります。相続関係を証明する書類が多数必要です。

所有権移転登記にかかる「登録免許税」

不動産の所有権が移転したり、抵当権が設定されたりする際に、国に支払う税金のことを「登録免許税」といいます。この税金は、不動産に関する登記手続きを行う際に必ず必要になります。

登録免許税は、登記申請を行う際に、法務局に納付します。

登録免許税の計算方法

登録免許税の金額は、不動産の評価額に税率を掛け合わせることで計算されます。

所有権移転登記の税率

所有権移転登記の税率は、登記の原因によって異なります。

税率
不動産の売買、贈与、財産分与2.0%
不動産の相続0.4%

登録免許税の計算例

【売買の場合】

固定資産税評価額が5000万円の不動産を売買した場合、登録免許税は5000万円×2.0%=100万円となります。

【相続の場合】

同一の不動産を相続した場合、登録免許税は5000万円×0.4%=200万円となります。

【結論】手間をかけても費用を抑えたいなら所有権移転登記を自分でやってみよう

所有権移転登記は、不動産の所有権を移転させるための重要な手続きです。この手続きは、司法書士に依頼することも、自分で行うことも可能です。

自分で手続きするメリット専門家への報酬が不要になるため、費用を抑えられます。
自分で手続きするデメリット必要書類の準備や、法務局への手続きなど、時間がかかります。登記申請書の作成など、専門的な知識が必要です。間違いがあると、手続きが遅れたり、やり直しになったりする可能性があります。

自分でやるか、プロに任せるか。

判断基準はシンプルです。すなわち「手間をかけてでも、費用を浮かせたい」という明確な意志があるかどうかです。

上記に当てはまる方は、自分で行うという選択肢にメリットを感じることもあるでしょう。

しかし正直、それ以外に自分で所有権移転登記を行うメリットはほとんどありません。

専門知識や経験のない一般人が所有権移転登記を行う場合、プライベートな時間を多く費やして専門書類をつくり、法務局に提出しなければなりません。

とくに致命的なのは、法務局が土日祝日に開所していないという点です。平日に仕事をしている人にとって、非常に都合が悪いです。

とはいえ、いまの時点で自分で行うべきか、プロに任せるべきか、迷っている方もいることでしょう。

そこで以下に、所有権移転登記を自分で行う場合の流れについて解説します。実際に自分が手続きを行えるかどうか、イメージしてみてくださいね。

所有権移転登記をプロにまかせたほうがいい場合

所有権移転登記をプロにまかせたほうがいい場合

以上みてきた、所有権移転登記を自分で行うケースにおいて、「自分でやるのは大変かもしれない」と思った方もいらっしゃることでしょう。

そんなときは弁護士や司法書士といった相続のプロに依頼するのが最善です。

手間をはぶき、時間を節約するための費用として考えると、十分にメリットがあります。

司法書士に依頼するメリット

専門知識に基づいた正確な手続き登記に関する豊富な知識と経験を持つ司法書士に依頼することで、正確かつ迅速な手続きが期待できます。
時間と手間を削減登記に必要な書類の準備や手続きを全て司法書士に任せられるため、時間と手間を大幅に削減できます。
トラブル防止登記ミスによるトラブルを未然に防ぐことができます。
安心感専門家である司法書士に依頼することで、手続きに関する不安を解消し、安心して手続きを進めることができます。

司法書士に依頼することをおすすめするケース

不動産の権利関係が複雑な場合抵当権の設定、共有持分、または複数の権利者がいる場合など、不動産の権利関係が複雑な場合は、専門家のサポートが必要となります。
過去の登記記録に不明な点がある場合何世代も前から登記手続きが行われておらず、登記記録が不明確な場合は、司法書士が過去の記録を調査し、適切な手続きを行います。
複数の不動産を同時に売買する場合複数の不動産を同時に売買する場合は、手続きが複雑になりがちです。司法書士に依頼することで、効率的に手続きを進めることができます。
相続による不動産の移転の場合相続の手続きは複雑で、専門的な知識が必要です。特に、相続人が複数いる場合や、遺言がある場合は、司法書士に依頼することをおすすめします。

まとめ:所有権移転登記は、専門家に任せるのが安心かつ確実な方法です。

所有権移転登記は、不動産の所有者を正式に記録する重要な手続きです。自分で行うことも可能ですが、専門知識が必要なうえ、時間や手間がかかります。

特に、相続や複雑な権利関係を伴う場合などは、間違いなく手続きを進めるために、司法書士などの専門家に依頼することがおすすめです。

相続で祖父名義の不動産を父死亡後に孫へ:必要な手続きと注意点を解説。

父が亡くなった後、祖父名義の不動産が残っていると知り、どのように相続を進めるべきか悩む方は多くいらっしゃいます。

この記事では、そんな方に向けて、父死亡後に祖父の財産を孫が相続するケースについて、代襲相続や数次相続の基本、必要な手続きや注意点を詳しく解説します。

最近義務化された相続登記にまつわる重要な事柄なので、これからの相続手続きにぜひご活用ください。

父の死亡後に祖父名義の財産を相続するケース

父が亡くなった後に祖父名義の財産を相続する場合、いくつかのケースに分かれます。

特に、父が祖父よりも先に亡くなった場合と、祖父が亡くなった後に父が死亡した場合では手続きが異なるため、正しい手続きを理解して進めることが重要です。

代襲相続:父が祖父よりも先に亡くなった場合

父が祖父よりも先に亡くなっている場合、孫が祖父の相続権を引き継ぐ「代襲相続」が適用されます。これは、祖父の財産を孫が直接受け継ぐための制度で、相続権が世代を超えて孫に移る仕組みです。

理由として、代襲相続は相続の権利が失われないようにするための法律上の仕組みであり、家族に公平な相続の機会が与えられます。

例えば、祖父が亡くなり、その直系の相続人である父が既に他界していた場合、孫が代襲相続の対象となり、祖父の財産を受け継ぐ権利を持ちます。

この際、孫が相続する割合は、もし父が健在であった場合の取り分と同じです。

具体的な手続きとしては、まず相続人である孫が必要な書類を揃えたうえで、家庭裁判所や司法書士の助けを得て手続きを進めることが推奨されます。

代襲相続は遺産分割協議を行う際にも重要なポイントとなるため、遺産の分割について他の相続人との話し合いが必要です。

数次相続:祖父の後に父が亡くなった場合

祖父が亡くなった後に父が他界した場合は、数次相続と呼ばれる手続きが適用されます。

数次相続とは、相続が複数回発生するケースで、祖父の財産を父が一旦相続し、その後父の相続が発生するという二重の相続のことを指します。

数次相続が発生する場合、手続きが複雑になる理由は、祖父と父の両方の遺産分割が必要になるためです。

例えば、祖父の財産が父に移った後、父がさらに他界すると、父の財産が孫や他の相続人に分割される形になります。

この場合、孫が最終的に祖父の財産を相続するには、祖父と父の両方の相続手続きを経る必要があります。

数次相続の手続きを進めるには、祖父と父の双方の遺産分割協議書を作成し、さらに相続登記を行う必要があるため、相続手続き全体の負担が増えることが一般的です。

父が死亡した後に祖父名義の財産が判明した場合の問題点

父が亡くなった後に祖父名義の財産が新たに判明した場合、相続手続きをそのまま進めるのは難しいケースがあります。

特に、不動産の売却や管理の決定、相続登記といった問題が発生するため、相続人全員での対応が必要です。

そのままでは売却できない

祖父名義のままの不動産は売却ができません。所有者が正式に相続人へと変更されていないため、売却や譲渡といった処分行為を行うためには、まず名義を相続人に移す必要があります。

これは、不動産の権利関係が曖昧なままだと、買い手にとってもリスクが生じるためです。例えば、相続登記が完了していない場合、相続権が確認できないため、第三者に対して売却手続きを進めることが法的にできません。

このため、売却を考えている場合は、まず相続人間での話し合いを行い、相続登記を済ませる必要があります。

管理や活用方法などは相続人全員で決める必要がある

祖父名義の不動産が判明した場合、その管理や活用方法は相続人全員の協議が必要です。相続人それぞれが権利を持つため、意見の一致がないままでは、勝手に使用したり賃貸に出したりすることができません。

これは、相続財産は法律上共有財産とみなされるためです。

例えば、相続人が複数いる場合、一人だけで不動産を活用することは難しく、賃貸や売却などの活用方法を検討する際には相続人全員の合意が求められます。各相続人が納得できるよう、話し合いを重ねることが重要です。

義務化により相続登記をしなければならない

2024年4月より施行された法改正により、相続した不動産は必ず相続登記を行うことが義務化されました。これは、相続人が相続登記を怠ることで起こる空き家などの問題を防ぐことを目的としたものです。

相続登記がされない場合、後々の世代にまで権利関係が複雑化し、相続手続きがさらに困難になるリスクがあります。

例えば、登記がなされないまま放置された不動産は、次世代に相続される際に権利関係が複雑化し、相続人の間で問題が発生することがあります。

新しい法律に基づき、相続した不動産は速やかに登記を行い、適切な名義変更を進めることが求められます。

数次相続で祖父名義の不動産を孫に名義変更する方法

数次相続で祖父の不動産を孫に名義変更するには、複数のステップを踏む必要があります。

主な流れは、相続人調査、遺産分割協議、そして相続登記の3つです。それぞれの手続きの内容を簡単に解説します。

1.相続人調査

相続を進める上で最初に行うことは、相続人を正確に調査することです。

数次相続の場合、一次相続・二次相続の相続人全員を確定させる必要があります。

相続人調査は、誰が相続権を持っているかを確認する重要な作業で、戸籍謄本などの書類を収集して行います。この調査を通じて、祖父の財産を受け継ぐ権利がある人をすべて確認しなければなりません。

この調査は、相続人同士のトラブルを避けるためにも重要です。

例えば、相続人が漏れていると、後から手続きが複雑化するだけでなく、他の相続人との関係に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、戸籍の収集は専門家に依頼することで、漏れなく行うことが推奨されます。

2.遺産分割協議

相続人が確定したら、次に行うのが遺産分割協議です。この協議では、被相続人の遺産をどのように分配するかを相続人全員で話し合います。

全員の合意が必要であるため、意見が一致するまで丁寧に話し合うことが求められます。

遺産分割協議は、相続人同士が公平な取り決めを行うために欠かせない手続きです。

例えば、協議が成立すれば、孫が祖父の不動産を単独で相続することが可能になります。

この合意内容は「遺産分割協議書」に記載し、各相続人の署名・押印をもって法的に有効なものとします。協議書は今後の相続手続きを円滑に進めるためにも重要な書類です。

数次相続の場合、複数の相続を一つの遺産分割協議書にまとめる方法と、一次相続と二次相続それぞれで遺産分割協議書を作成する方法があります。

3.相続登記

遺産分割協議が完了したら、次に行うのが相続登記です。相続登記は、不動産の名義を正式に変更する手続きであり、登記簿に新しい所有者を記載することで法的な権利が確立されます。

相続登記を怠ると、将来の相続でさらに複雑な手続きが発生する可能性があるため、速やかに行うことが理想です。

数次相続の場合、一次相続の相続登記をしてから、二次相続の相続登記をする形で相続登記の手続きを進めていきます。

例えば、孫が祖父の不動産を相続する場合、まずは祖父から父に名義変更をする相続登記を完了させ、その後に父から孫に名義変更をする相続登記を行います。

この手続きを完了させることで、孫は不動産の売却や活用といった行為が自由にできるようになります。

中間者が単独の場合は直接移転が可能

中間の相続者が単独で相続している場合は、孫への直接移転も可能です。これは「相続登記の中間省略」と呼ばれる、数次相続の簡略化を目的とした手法です。不要な手続きを減らすことができる場合に適用されます。

具体的には、父が単独で祖父の財産を相続している場合、通常の数次相続よりもスムーズに孫へと移ることが可能になります。

この場合、父の名義に一旦移してから再び孫へ変更する手間を省けるため、手続きが簡略化され、費用と時間の節約にもつながります。

相続問題でお困りの方は司法書士へご相談ください

今回ご紹介した世代をまたぐ名義変更のケースのように、相続手続きは複雑で自分で進めようとすると多大な労力と時間を要します。

相続問題でお悩みの方は司法書士に相談・依頼をすることで、必要な書類の作成や、対処のアドバイスをすることが可能です。

もし記事でお悩みが解決しないようでしたら、札幌大通遺言相続センターの無料相談をご利用いただけますと幸いです。

ラインでの受付も実施しておりますので、お気軽にご相談ください。

認知症の親の土地に家を建てるには?成年後見制度と名義変更のポイントを解説。

「認知症の親の土地に家を建てたいけれど、どのような手続きが必要なのか不安…」と悩む方も多いのではないでしょうか。

親が認知症になると、土地の名義変更や管理に大きな障害が発生します。

この記事では、成年後見制度をはじめ、家族信託や生前贈与といった具体的な対策をわかりやすく解説します。

親が意思能力を持っているうちにできる準備についても紹介しているため、トラブルを避けるための参考にもご活用ください。

認知症の親が名義人の土地に家を建てるのは不可能に近い

認知症の親が所有する土地に家を建てることは、現実的には非常に難しい状況です。

これは、土地の契約や手続きに必要な「意思能力」が本人に欠けていると判断されるからです。認知症が進行すると、契約内容を理解したり、自分の意思で契約を行ったりする能力が低下するため、法律上の契約が無効になる可能性があります。

そのため、親が認知症である場合、土地に関する名義変更や担保設定が難しくなります。

認知症の親の土地に家を建てるリスク・起こりうるトラブル

意思能力がないと判断された場合、法律上の契約や取引が成立しないため、住宅ローンを利用する際に土地を担保に提供する契約も結べません。

こうした手続きは親の土地を担保にするために必要ですが、意思能力がなければ、金融機関から融資を受けることができなくなります。

また、意思能力がない親の土地に対して子どもが勝手に家を建てると、後にトラブルが生じるリスクもあります。例えば、他の相続人がいる場合、家の所有権や土地の利用に関して法的な争いが発生する可能性もあります。

認知症の親が名義人の土地に家を建てようとして失敗したケース

実際に、親が認知症で意思能力がないために、家を建てる計画を変更せざるを得なかった事例も少なくありません。

あるケースでは、親が認知症になってしまい、子どもが土地を担保にした住宅ローンの利用ができなくなったため、家の建設を自己資金のみで行うことを余儀なくされた事例もあります。

このように、認知症の親が所有する土地に家を建てるためには、法的な制約が多くあり、十分な準備と事前の対策が不可欠です。

成年後見制度の利用で認知症の親の土地の名義変更ができる可能性はある

認知症などで意思能力が低下した親が土地の名義人の場合、「成年後見制度」を利用することで土地の名義変更を行う可能性が出てきます。

成年後見制度を利用することで、親が意思能力を持たずに契約できない場合でも、後見人が代わりに財産管理を行います。

そして、後見人が親の利益になると判断する場合には、土地の利用や名義変更などが可能になることがあるのです。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、認知症や知的障害などで意思能力が不十分な人に対し、代わりに財産や契約に関する意思決定を行う「後見人」を立てる制度です。

後見人は、本人が日常生活を安心して過ごせるようにするだけでなく、不動産の管理や相続などの法律行為を支援します。

親が認知症になり意思能力がなくなった場合、後見人がいなければ財産に関する手続きは進められませんが、成年後見制度を利用することで後見人が財産を管理し、代わりに契約を結ぶことができるため、親の土地を活用できるようになります。

成年後見制度を利用するメリット

成年後見制度を利用すると、後見人が親に代わって土地の名義変更や管理ができるため、家の建設や土地活用の計画がスムーズに進めやすくなります。

また、後見人が親の利益を守る役割を果たすため、不正利用を防ぎつつ適切に財産を管理できる点もメリットです。

さらに、後見制度を利用すると、親が予期しない契約を行うリスクを避けられ、家族としても安心して手続きを進められます。

加えて、成年後見制度を使うと、将来的な財産トラブルの回避につながることも期待できます。

成年後見制度を利用する際の注意点

成年後見制度を利用する際には、以下の点に注意が必要です。

成年後見制度を利用する流れ

成年後見制度を利用するには、以下のような手続きが一般的です。

  1. 申立て準備:成年後見制度を利用するために、後見人を選任する申立て書や必要な書類を準備します。書類には、医師の診断書や親の財産状況に関する情報が含まれます。
  2. 家庭裁判所への申立て:申立書類を家庭裁判所に提出し、後見人の選任を依頼します。家庭裁判所での審理が進むと、最終的に後見人が選ばれます。
  3. 後見人の活動開始:後見人が選任されると、土地の管理や名義変更の手続きを行うことができます。必要に応じて裁判所の許可を得ながら、財産の管理や手続きを進めていきます。

親が認知症になる前にできる土地や家への対策

親が認知症になると土地の管理や家の名義変更が難しくなりますが、認知症になる前に準備しておけばスムーズに対応できる方法がいくつかあります。ここでは、家族信託、生前贈与、任意後見制度の利用といった対策をご紹介します。

家族信託

家族信託とは、親が所有する土地や家などの財産を、信頼できる家族に託し、管理や運用を行う仕組みです。

この方法を使えば、親が認知症になった後も、家族が代わりに土地や家の管理を行うことができます。

家族信託の最大のメリットは、親の意思が明確なうちに信託契約を結べるため、後から手続きが難航することがないことです。

また、後見制度に比べて柔軟な財産管理が可能で、親の財産を家族が実質的に管理しやすくなります。家族信託は認知症対策として近年利用が増えており、将来的なトラブル回避にも効果的です。

生前贈与

生前贈与は、親が生きている間に子どもに財産を譲渡する方法です。親が意思能力を持っている段階で土地を子どもに贈与しておくことで、後々の名義変更が不要になり、認知症による契約トラブルも防げます。

生前贈与を利用することで、相続が発生した際の相続税を軽減する効果も期待できます。

また、土地の所有権を子どもに移すことで、建物のローンを利用しやすくなる場合もあり、長期的に見ても家族全体にとってメリットがあります。

ただし、贈与税がかかるため、贈与額や回数については専門家に相談しながら進めることが重要です。

任意後見制度の利用

任意後見制度とは、親が元気なうちに信頼できる家族を後見人として任命し、将来的な財産管理をお願いしておく制度です。

成年後見制度と違い、親の意思に基づいて後見人を選ぶことができるため、親が希望する財産管理が実現しやすいのが特徴です。

任意後見制度を利用することで、認知症などで意思能力が低下した際に、事前に決めた後見人が土地や家の管理を代行することができます。

これにより、家族が必要な手続きをスムーズに進められ、後の手間や負担を大幅に減らせます。任意後見契約を公正証書で作成するため、法的にも安心な手段です。

相続の生前対策でお悩みの方は司法書士へご相談ください

今回ご紹介した認知症のケースのように、相続の生前対策は手続きが複雑であり高度な専門知識が求められるため、自分で進めようとすると多大な労力と時間を要します。

相続問題でお悩みの方は司法書士に相談・依頼をすることで、必要な書類の作成や、対処のアドバイスをすることが可能です。

もし記事でお悩みが解決しないようでしたら、札幌大通遺言相続センターの無料相談をご利用いただけますと幸いです。

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