家族信託とは、信頼できる家族に自分の財産の管理、運用、処分を任せる制度。
この制度を利用することで、自分が認知症などで判断能力を失った場合でも、家族が引き続き財産を適切に管理することができます。
家族信託は認知症対策や相続対策に非常に有効な手段です。しかし、その手続きは複雑であり、また比較的新しい制度でもあるため、自分で手続きを進めるのは難しい場合があります。
家族信託は、司法書士、弁護士、行政書士などの専門家に相談して依頼することができますが、中でも司法書士に依頼することで得られるメリットは大きく、よりスムーズかつ確実に手続きを進めることができます。
この記事では、司法書士に家族信託を依頼した場合のメリットや手続きの流れ、司法書士の選び方についてご紹介します。
司法書士に家族信託を依頼するメリット
登記のプロである司法書士に家族信託を依頼するのには、安心で確実な信託契約書を作成してもらえるだけに限らず、次のようなメリットを受けることができます。
財産管理の方法に関して専門的な意見を得られる
家族の状況や財産、相談者の要望に基づいた具体的なアドバイスを受けることができます。
契約内容の検討を始めるにあたり、財産の管理方法や相続に関して家族からさまざまな要望が出てくるものです。
実際に全ての要望に沿った形で進めることは実際には難しいですが、司法書士に相談することで、実現可能かどうかの判断や具体的な方法について専門的な立場からアドバイスを聞けるメリットがあります。
不動産登記の手続きもワンストップで任せられる
不動産を家族信託する際には、信託目録を作成し、それを法務局に提出して不動産登記にも反映させる必要があります。
不動産登記の手続きを行うには、信託法に加えて、登記手続きに関する高い専門性も求められます。
信託契約書の作成を司法書士以外の専門家に依頼した場合でも、不動産登記の手続きは通常、司法書士に依頼することになります。そのため、最初から司法書士に依頼することで、すべての手続きを一括して対応してもらうことができます。
信託契約後も相談ができる
契約締結後も引き続き相談できるという点は大きなメリットです。2022年に司法書士の行為規範が改正され、司法書士は「継続的な支援」を提供できるようになりました。
家族信託を実行すると、それまでの管理方法が変わるため、疑問や不明点が出てくることがあります。その際に力になれるのは、信託の実行をサポートできる専門家です。
司法書士は「継続的な支援」を行うことが定められているため、信託の実行後も引き続き相談が可能です。また、相談しやすく、質問しやすい関係を築けるかどうかも、専門家を選ぶ際の重要なポイントとなります。
司法書士に家族信託を依頼した場合の費用の相場
司法書士に家族信託を依頼した場合の費用の相場は、信託財産に不動産が含まれるかどうかで変わります。
司法書士に依頼する場合は、一般的に以下の金額が費用の目安となります。
司法書士に家族信託をいらいしたときの費用相場
- 信託財産に不動産が含まれる場合:約30〜70万円
- 信託財産に不動産が含まれない場合:約50〜100万円
この費用・報酬の相場は、主に以下の業務で構成されています。
司法書士に家族信託を依頼する費用の内訳
- コンサルティング費用:信託財産の1%程度
- 信託登記手続の代行費用:10万円~15万円
- 家族信託契約書の公正証書化費用:8万円~12万円
司法書士へに家族信託の相談から信託開始までの流れ
札幌大通相続遺言センターの「家族信託まるごとサポート」(税込495,000円〜)では、家族信託についてご相談を受けてからご家族による財産管理をスタートするまでに、主に以下のステップでサポートさせていただきます。
1.家族信託の重要事項のご説明
家族信託のご依頼を受けると、一定期間の契約状態が続きます。あらかじめ知っておいていただきたいことや、ご注意いただきたいことを書面を用いてご説明します。
2.信託への希望の聞き取り
お客様が信託に求めること、信託で実現したいことなどを司法書士・行政書士が質問させていただきながら聞き取っていきます。
3.家族信託の仕組みを整理
教えていただいた内容をもとに、信託の開始・信託期間中・信託の終了までの仕組みを整理し、信託契約書を作成していきます。
4.将来リスクを細かく検討
不測の事態を避けるため、契約書の作成に際しては、将来リスク(認知症の発生や死亡の順序など)について、細かく検討を重ねます。
5.信託契約書の文案確定
公証役場や、信託財産を管理する信託口口座を開設する金融機関とも打ち合わせをしながら、信託契約書の文案を確定します。
6.必要書類のお預かり
信託契約締結のための公証役場への提出書類や、登記のための法務局提出書類など、必要書類をご案内し、お預かりします。
7.信託契約の締結
財産を託す方、託される方の双方に公証役場へご訪問いただき、信託契約を締結します。公証人に自宅などへの出張を依頼することも可能です。
8.法務局への信託登記の申請
不動産を信託財産とする場合には、財産を託される受託者への名義変更が必要。この信託登記を司法書士がお手伝いします。
9.信託口口座の開設
信託金銭を管理するため、いくつかの金融機関では、信託専用の「信託口口座」の開設が可能です。口座の開設も司法書士がお手伝いします。
10.ご家族の信託事務スタート
信託登記・信託口口座の開設によって「家族信託まるごとサポート」は完了となります。ここまでのステップを経て、ご家族による財産管理がスタートします。
家族信託を依頼する司法書士の選び方
家族信託を司法書士に依頼するとき、司法書士の選び方も重要になります。主に以下のポイントに注意して司法書士を探してみてください。
他の専門家とのコネクションがあるか
家族信託を計画する際には、法律、登記、税務、不動産といった多岐にわたる知識が必要です。また、家族信託を実行するためには、専門領域外の他の専門家と協力する必要が生じることもあります。
そのため、家族信託に精通している税理士や弁護士、不動産会社との連携体制を持つ司法書士を選ぶのが望ましいでしょう。
家族信託のサービスが明記されているか
司法書士事務所と一口に言っても、それぞれの専門分野は異なります。
比較検討中の司法書士事務所のホームページを見て、家族信託に関するサービス内容や料金の目安が明記されている事務所を選ぶことをおすすめします。
札幌エリアで家族信託をお考えの方は、札幌大通遺言相続センターへご相談ください
家族信託は長期に渡って継続する可能性があることから、将来の不測の事態が起こらないように対応できるような準備が必要です。
札幌大通遺言相続センターの「家族信託まるごとサポート」では、ご相談者様と入念な打ち合わせを行い、管理・処分を委ねる財産に応じた、信託のスキーム(仕組み)を整理し、信託契約の締結をサポートいたします。
また、信託財産に不動産が含まれる場合には信託登記手続きを代行し、家族信託の仕組みづくりと円滑なスタートをバックアップします。
将来の認知症リスクに備えるために、ご家族に財産の管理・処分を委託する「家族信託」は現代において非常に大切な手続きです。
家族信託をご検討の際には、ぜひお問い合わせください。