被相続人から相続した土地を10年以上そのままずっと放置してしまっている、といったケースは実際にあります。
相続財産である土地を10年ほど放置してしまった場合、然るべき手続きをしなければ罰則等のデメリットを負うことになるかもしれません。
この記事では、相続する土地を10年放置してしまっているケースにおいて、放置し続けるリスクや、これから相続登記を行う手続きの主な流れについて解説します。
10年放置した土地には相続登記の義務があります
2024年4月1日より相続した土地の名義変更、つまり相続登記が義務化されます。
2024年4月1日以降に相続によって取得した不動産は、相続登記による名義変更を取得を知った日から3年以内に行わなければいけません。この相続登記の義務は、過去の相続で取得した不動産も対象になるため、もちろん10年放置した土地も義務化の対象です。
相続登記が義務化となったのには、相続登記されずに放置された所有者不明の土地や建物が増えてたことにより、周辺環境の悪化や公共事業への妨げになってしまっている近年の社会問題が背景にあります。
10年放置していた土地のような過去(2024年3月31日以前)に相続で取得した不動産は、法改正から約3年間の期間が定められており、2027年3月31日までに相続登記を行わなければなりません。
10年放置した土地を期限までに相続登記しないリスク
相続登記しなければならない土地を10年以上放置することには、以下のようなリスクが考えられます。
罰則の対象になる
先述のとおり、相続登記は2024年4月1日より相続登記が義務となっていて期限が定められています。前章でも触れましたが、相続登記の期限は以下のとおりです。
- 2024年4月1日以降に相続で不動産を取得した場合:取得を知った日から3年以内
- 2024年4月1日以降に相続で不動産を取得した場合:2027年3月31日まで
この期限を超えてもなお相続登記を行わない場合、罰則の対象となり10万円以下の過料が科される可能性があります。
権利関係が複雑になる
遺産分割協議が終わっていない状態で相続人が死亡するようなケースでは、次いで新たな相続が発生する数次相続や、死亡した相続人の子孫が相続人となる代襲相続が起こる可能性があります。
数次相続や代襲相続では、相続人の数が増えたり相続人同士の関係性が複雑になるため、全ての相続人を確定することが難しくなります。
土地を差し押さえられる可能性がある
遺産分割がまだ終わっていない状態で相続人の中に借金を抱えている人がいる場合、債権者によって土地を差し押さえられる可能性があります。債権者は、債務者の法定相続分のみ相続登記を行うことが認められています。
土地の一部を債権者によって差し押さえられると、相続手続きが複雑になるため注意が必要です。
土地を売却したり担保にできない
不動産の売却や担保にすることができるのは、不動産の名義人のみです。そのため、土地の相続登記ができないと土地を売却したり担保にすることができません。
遺産分割協議の結果、全ての財産を法定相続分で相続したまま放置しているケースにも注意が必要です。
法定相続分で相続すると土地は全ての相続人の共有名義で保有されることになるため、売却などの手続きを行う際には全ての共有名義人の同意を得ることが必要になります。
共有名義のままそのうちのだれかが死亡すると権利関係が複雑になり、将来の売却等の手続きも複雑化してしまうため、土地の売却を検討してる場合は、なるべく早く共有名義は解消したほうがいいでしょう。
10年放置した土地を相続登記する手続きの流れ
10年放置した土地を相続登記する場合、主に以下の流れで登記手続きを進めていきます。
遺産分割協議を行う(遺産分割協議をしていなかった場合)
もし遺言書がない相続で遺産分割協議も行われていなかった場合、遺産分割協議を行い、土地をどの相続人が引き継ぐのか決めなければなりません。
遺産分割協議は、全ての相続人の出席が必要です。ただ、遺産分割協議をしないまま10年以上放置していたようなケースでは、相続人の相続人の一部の死亡によって数次相続や代襲相続が起こり相続関係が複雑化しているおそれも十分考えられます。
登記申請書を作成する
遺産分割協議によって引き継ぐ人が決まれば、その相続人が相続登記の手続きを行う責任を持つため、登記申請に向けて準備を進めていきます。
登記申請書を作成するには、土地や相続人に関する情報として以下のような多くの種類の書類が必要になります。
- 登記申請書
- 不動産の登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
- 遺言書もしくは遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本
- 相続人全員の戸籍謄本・住民票
- 法定相続人の印鑑証明書(遺産分割協議をした場合)
法務局へ相続登記を申請する
登記申請書の作成や必要書類の準備が整ったのち、不動産所在地を管轄する法務局へ登記申請を行います。
登記申請の方法には、窓口への持参、郵送、オンラインでの申請による方法があります。
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