相続手続きが始まると、初めて耳にする専門用語が多いことでどうしても不安な気持ちになってしまいますよね。
特に「共同相続人」という言葉は不動産を相続する場面で用いられることが多く、意味や使われ方をよく知らないことで自分にとって最適な進め方ができなくなるおそれも考えられます。
この記事では「共同相続人」という言葉について、使われるシーンや当てはまる人、共同相続人であることのデメリットを解説します。
共同相続人とは
「2人以上の相続人が同じ相続財産を相続して共有している状態」を共同相続といい、共同相続の状況にある相続人を一般的に共同相続人と呼びます。
遺言書がない状態で相続が発生すると、遺産分割協議を行って相続財産の分割方法を決める必要があります。この時、被相続人の相続財産は全ての相続人が共同で保有するものとして扱われることになります。そのため、遺産分割協議が終了すると共同相続も解消されます。
共同相続と法定相続人との違い
法定相続人とは「財産を相続する権利を持つ人」を言い、民法で定められています。
「遺産分割を終えるまでの法定相続人」と「共同相続人」は同義と言えますが、法定相続人が1人しかいない場合や、遺産分割が終了して以降の法定相続人に関しては、共同相続人には当てはまりません。
共同相続と単独相続との違い
単独相続とは、共同相続人が存在せず1人だけで財産を相続する場合を指します。
単独相続は、遺言書において1人だけが財産の相続人に指定されている場合や、遺産分割協議を行い1人が全財産を相続することになった場合などが該当します。
共同相続人の調べ方
共同相続人は、被相続人の戸籍謄本を調べることで明らかにすることができます。
被相続人に結婚や離婚、養子縁組などの過去の戸籍情報を確認する必要があるため、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本を取得しなければなりません。
これまでは、被相続人が過去に住んでいた市区町村の戸籍謄本は、その市区町村役場から個別に取り寄せる必要がありました。
しかし、2024年3月からは、本人等請求に限り他市区町村に本籍がある戸籍を役所の窓口で一括請求できるようになったため、全ての戸籍謄本を取得するのにかかる労力が従来より少なくなっています。
共同相続人の状態を放置すると問題になりやすいこと
共同相続している状態をそのままにしておくことは、多くのリスクを伴い、次のような問題が発生する可能性が考えられます。
相続財産の売却
財産を共同相続している場合、その財産を売却するには共同相続人全員の同意を得る必要があります。共同相続人のうち一人でも同意を得られなければ売却することができません。
特に不動産の場合は売却についてトラブルが起こりやすいので、家などを共同相続する際には細心の注意が必要です。
固定資産税の納付
不動産を共有相続していると、不動産に課せられる固定資産税は全ての共同相続人に納税義務が発生します。
固定資産税の納付書は共同相続人の代表者に送られ、代表者が他の共同相続人から集金する形で納税します。ただし、相続人によっては連絡が取れなかったり支払いを拒否する人もいることもあり、その場合は誰かが立て替えなければならず、共同相続人の間で負担が偏ってしまいます。
固定資産税を滞納すると、共有名義の解除や不動産の売却が困難になる可能性もあるので、共同相続人同士の円滑なコミュニケーションが欠かせません。
空き家の管理方法
共同相続している財産が空き家の場合、その管理方法について共同相続人間で問題が起きやすくなります。
掃除や修繕などの管理・メンテナンスを定期的に行う必要があり、誰が管理を行うのかなどの責任問題で揉める場面が少なくありません。
また、役割を定かにせずに空き家を共同相続している状態だと、各共同相続人の責任感が薄くなり、空き家の管理が適切に行われなくなるリスクもあります。
空き家の管理が適切に行われないと、空き家の劣化が進行したり、雑草や植木の放置が近隣トラブルに繋がることも想定されます。
その結果、行政指導や行政代執行を受ける可能性もあり、行政による修繕や解体が行われると、共同相続人に多額の費用が請求されることも考えられます。
共同相続人の事情で相続が複雑になるケース
共同相続の状態を続けると、次のような共同相続人の事情によって、より複雑になってしまうケースがあります。
共同相続人が相続放棄した
この記事で述べているように、共同相続の状態を続けることはリスクを伴います。そのため、共同相続人の一人が相続放棄することも考えられます。
相続人は、相続が発生してから3ヶ月以内に家庭裁判所に申立てることで、相続放棄をすることが可能です。
共同相続人の一人が相続放棄すると、その相続人と同じ順位に他の相続人がいない場合、次の順位者が新たに共同相続人として加わります。たとえば、配偶者が1人、子が1人が相続人の場合、子が相続放棄すると、次の順位者である直系尊属(親や祖父母)が共同相続人となります。
共同相続人が死亡した
共同相続の状態で共同相続人の1人が亡くなってしまった場合、その共同相続人の相続人(配偶者や子ども)が代襲相続され、新たに共同相続人に加わります。
家などの不動産を共同相続していると、このような形で共同相続人が増えてしまうことで持分が細分化され、複雑になってしまうリスクがあります。
共同相続を放置することで孫の世代まで共同相続人が増えてしまい、いざ売却や分割を行う際にコミュニケーションを取ることが困難になってしまいます。
共同相続の状態を解消するための遺産分割方法
相続放棄をせずに共同相続の状態を解消するためには、以下に挙げられる遺産分割方法を行うことが求められます。
現物分割
不動産、自動車、預貯金など、財産の種類ごとに相続人同士で分割する方法です。
手続きが比較的単純で分かりやすく、被相続人の遺した財産をそのままの形で残すことができるメリットがあります。
一方で、相続財産の価値で考えた場合、公平に分割することが難しい場合が多い点がデメリットとして考えられます。
代償分割
代償分割とは、不動産など分割が難しい財産がある場合、価値の高い財産をそのまま相続する相続人が、その他の相続人に対して差額分を現金で支払う方法です。
たとえば、相続人が配偶者と子ども2人だった場合、配偶者は不動産を相続し、子ども2人それぞれに対して相続分に足りていない分の現金を支払います。
代償分割も同じく相続財産をそのままの形で残すことができ、加えて相続人同士の公平性を保つことができるメリットがあります。ただし、不動産など形のある財産を相続する人は、他の相続人に支払うだけの資金力が必要になります。
換価分割
換価分割とは、売却によって全ての相続財産を金銭に換え、それを相続人で分割する方法です。
それぞれの相続人が同じ形で相続分を引き継ぐことができるので最も公平であり、相続人同士のトラブルが起きにくいのが特徴です。一方で、相続財産が形として残すことができなかったり、相続財産の売却によって手数料や税金が発生するというデメリットが考えられます。
2024年4月から相続登記が義務化へ。共同相続している不動産があれば専門家への相談をお勧めします。
2024年4月1日から、相続登記の申請が義務化されます。これは、以前は相続登記が任意の手続きだったことで「所有者不明土地」が増加し、空き家による周辺環境への悪影響や公共事業への弊害が頻発していることが背景にあります。
被相続人の名義のまま共同相続している不動産があれば、相続発生時より3年以内に相続登記の申請をする必要があります。
共同相続の状態を解消するには遺産分割をする必要がありますが、最適な分割方法の選択から、相続登記手続きまで、自分で行うには高い専門性が求められます。
共同相続に当てはまる方をはじめ、これから不動産の相続を行う人は、少しでも不安があれば司法書士などの専門家へ一度相談することをお勧めします。
確実な相続登記をしたい場合は、札幌大通遺言相続センターへご相談ください
相続登記は、シンプルなケースの場合自分で行っても問題が起こりにくいです。しかし、複雑なケースであるほど専門的な知識が必要になります。
登記の記載を間違えてしまうと、遡っての確認や再度書類の集め直しなど、多くの手間が発生してしまいます。スムーズに相続登記を進めたい方、確実に登記簿を記載し安心して相続したい方はぜひ札幌大通遺言相続センターへご相談ください。
札幌大通遺言相続センターでは、相続登記から相続の丸ごとサポートまで、幅広いサービスを実施しています。なるべく費用を抑えたい方は33,000円〜の「不動産の名義変更サポート」がおすすめです。
複雑な相続登記は一括して代行し、書類の収集や遺産分割協議書の作成などもお手伝い致します。
お客様の費用に合わせて、柔軟な対応をさせていただければと存じますので、まずは無料相談にてお気軽にご相談ください。