家族信託の重要な基礎知識をまとめて解説します。時間のない方でもザックリ確認できるようにわかりやすくコンパクトに解説していますので、これから家族信託を検討している方はぜひお役立てください。
家族信託とは?要約すると「老後に備えて財産管理を家族に託す」こと
早わかり3ポイント
- 不動産や事業を運営している人に向いている
- 遺言と同等の法的効力がある
- 遺言以上に裁量範囲が広い
家族信託とは、財産(お金・不動産)の管理や処分を家族に託し、安心して老後を過ごす方法のことです。万が一あなたが死亡・認知症になっても、家族はあなたの意思に沿って財産を管理してくれます。
家族信託は、遺言と同等の効力を持ち、なおかつ遺言以上の裁量範囲があります。たとえば財産の承継者候補を、2番目・3番目まで指定できるのは、家族信託ならではの強みです。
「自分がいなくなった後も不動産経営を続けてほしい」という方にも家族信託がぴったりです。
ただし家族信託は、比較的新しい制度のため、家族信託に精通した経験豊富な専門家がまだまだ少ないのが現状です。経験の浅い人が家族信託を運用すると、後悔してしまう事態に発展しかねません。
しかし札幌大通遺言相続センターは、家族信託の知識と相談実績が豊富なプロが常駐していますのでご安心ください。
当センターが多くのお客様に選ばれるのは、常に最新情報を取り入れて実務に活かすプロフェッショナル集団だからです。
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家族信託が近年増えている理由は「認知症の危機意識」「成年後見制度の限界」
早わかり3ポイント
- 認知症による相続トラブルを防ぐために家族信託が選ばれている
- 一般的な認知症対策は「成年後見制度」だが財産管理の自由度に限界がある
- 家族信託は元気なうちに財産管理を託すことができる
①認知症による相続問題への危機意識が高まった
6人に1人の割合で認知症になるといわれています。認知症の方が相続人になると、相続財産を分配するための「遺産分割協議」ができなくなります。相続人の預金口座は凍結され、不動産の管理・処分も一切できなくなるため注意が必要です。
認知症が引き金となった相続トラブルは後を絶ちません。テレビやニュースでも認知症の問題がピックアップされているためか、近年は「相続の準備は認知症になってからでは遅い」という意識が高まっている印象を受けます。
万が一自分が認知症になっても財産の管理を託したい――そういった考えを持つ人たちにとって、家族信託(民事信託)は非常に意義のある選択肢です。実は家族信託は、成年後見制度よりも自由度が高いのです。
②成年後見制度では財産管理の自由度に限界がある
一般的な認知症対策として「成年後見制度」が挙げられます。成年後見制度を使えば、相続人が認知症になっても、代理人(成年後見人)が遺産分割協議に参加できますので、相続財産の分配手続きを進めることが可能です。
しかし成年後見人を選ぶ決定権は、あなたではなく、裁判所にあります。 親族が後見人に指名されることもありますが、確率的には30%以下といわれています。多くのケースでは、司法書士や弁護士が裁判所に選ばれているようです。
また、成年後見制度は財産管理においても制度的な限界があります。成年後見人が処分できる財産(とくに不動産)には制限があるため、家族信託の自由度に比べると、かなり窮屈です。
しかも、認知症になってから契約する「法定後見」の場合、さらに不動産処分の自由度が狭まります。裁判所の許可がなくては不動産を運用できなくなるのです。
こうした成年後見制度の限界点が、より自由度の高い(意思を反映しやすい)家族信託に人気が集まる理由となっています。
③自分が元気なうちから財産管理を託せるため安心
家族信託なら「判断能力がしっかりしている間に財産の行方を見守りたい」という想いを叶えることができます。契約を結んだ時点で財産の管理がスタートするからです。あなたが元気なうちに財産を任せて、その後の行方を見届けられますよ。
家族信託と民事信託の違いは「ない」。言い方が違うだけで仕組みは同じ
家族信託と民事信託は同じものです。本質的な違いはありません。
- 信頼できる家族に財産管理を託す場合は「家族信託」
- 親族ではないけれども信頼できる他者に財産管理を託す場合は「民事信託」
と覚えておけば大丈夫です。
ザックリわかる家族信託(民事信託)の基本的な仕組み
早わかり3ポイント
- 委託者とは財産管理を「任せる」人
- 受託者とは財産管理を「任せられた」人
- 受益者とは財産管理で発生した利益を「受け取る」人
基本的に家族信託は「委託者」「受託者」「受益者」の3者の関係性で成り立っています。
「委託者」とは
財産の管理・運営を任せる本人のこと。今後どのような方法で財産を管理/処分してほしいのかを、自分の意思で決定することができます。受託者を選ぶ/解任する権利があります。
「受託者」とは
委託者から託された財産を管理する人のこと。「家族信託」という話に限っていえば、あなたが信頼できる(≒財産管理を任せたい)家族のことです。
受託者には、信託目的から逸脱しない範囲で、幅広い財産管理の権限が与えられています。財産の運用で利益を出すことはもちろん、新たに不動産を購入/売却することも可能です。ただしその利益は「受益者」に渡さなければなりません。
「受益者」とは
管理している財産(信託財産)から発生する利益を受け取る人のこと。信託契約時に指定されます。受益者は、家族だけでなく、他人でもなることが可能です。また、複数の人を受益者に指定できるのも特徴で、たとえば「孫を含めた息子一家を受益者にする」という契約も成立します。
家族信託の受託者と受益者は同一人物に指定できるが「一年で契約が終了」という決まりがある
早わかり3ポイント
- 「受託者=受益者」の場合は信託契約が一年で終わってしまう
- 「受託者=受益者」の信託契約は延長ができない
- 信託契約を長期的に続けていきたいなら受託者と受益者は分けるべき
家族信託のご相談では「受託者と受益者を一緒にしたい」という質問がよく投げかけられます。結論からいいますと、受託者と受益者を同一人物にすることは可能です。ただしその場合、信託契約は「一年」で終了することになります。法律でそう決められているのです。
なぜ「受託者=受益者」だと信託契約が一年で終わってしまうのかといいますと、理由は「受益者が財産管理を第三者の目で監督する」という義務を果たしにくくなるからです。
もともと受益者には、受託者が問題なく財産管理を行っているかを監督する役目があります。しかし「受託者=受益者」になってしまうと、第三者視点で監督ができなくなってしまうため、その“形骸化”を防止するという意義から、信託契約が一年で終わるように法律で決められているのです。
また「受託者=受益者」の信託契約は延長もできないため注意しましょう。
家族信託の注意点は「信託開始から30年経過後に受益者が死亡すると契約が終わる」こと
早わかり3ポイント
- 家族信託には有効期限はない
- だが信託契約から30年後以降に受益者が死亡すると強制的に終了する
- 現実的に考えると家族信託は永久に続かない
家族信託に契約の有効期限はありません。しかし、実質的に有効期限らしきルールが存在します。それがいわゆる家族信託の「30年ルール」です。
30年ルールとは、「信託契約が開始されてから30年が経ったあとに受益者が死亡すると、自動的に信託契約が終了する」という法律上の決まり事です。つまり委託者は、「信託契約が永久に続くことは現実的にありえない」ことを想定する必要があります。
家族信託は「口頭」でも契約できるがトラブル防止のために契約書は必須
実は家族信託は、「口約束」つまり「口頭」でも契約を結ぶことができます。法で定められた厳格な形式があるわけでもなく、当事者同士で自由に信託契約を決められます。
とはいえ、家族信託は立派な契約ですから、後になって深刻なトラブルが起こる可能性も考慮して、契約書として形に残しておくのがベターです。契約書の形式も基本的には自由ですが、公平性を確保するために「公正証書」を作成することをおすすめします。
公正役場に持っていく主な必要書類
- 戸籍
- 本人確認資料(運転免許証やマイナンバーカード)
- 受託者と受益者の印鑑証明書&実印
- 不動産登記謄本(不動産を信託財産にする場合)
個人で公正証書を作成できますが、法律に精通した司法書士に任せたほうが確実でスムーズです。
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三世代にわたって財産管理を任せたいなら「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」が唯一の選択肢
早わかり3ポイント
- 家族信託の30年ルールが不安なら「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」
- 自分を含めた三世代先まで見越して財産管理を託せる
- 事業承継や不動産管理でも役立つ
30年ルールの「信託契約が開始されてから30年が経ったあとに受益者が死亡すると、自動的に信託契約が終了する」という欠点を克服する方法があります。それが「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」です。
【あなた➡配偶者➡子ども】
あるいは
【あなた➡子ども➡孫】
といったように、後継ぎ遺贈型の受益者連続信託を利用すれば、二世代・三世代にわたって財産管理のプランを実現することができます。この複数世代をまたがる財産承継は、遺言では不可能ですので、事業や不動産をお持ちの方はぜひ一度ご検討ください。
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家族信託を行うメリットまとめ
①成年後見制度よりもフレキシブルな財産管理ができる
家族信託は「財産管理に関して、成年後見制度よりも幅広い意思決定ができる」と整理してください。成年後見制度は裁判所の監督のもと、決められたルールのなかで財産を慎重に管理しなければなりません。「自分がいなくなったあとも不動産を運用して資産を増やしてほしい」といったあなたの要望を叶えるには、家族信託がおすすめです。
②遺言書と同じくらい効力があって射程が長い
遺言書も家族信託も、「死後の財産の行方を決める」という点では同じです。しかし遺言書は、二世代・三世代先のことまで意思を反映することはできません。家族信託の場合は「後継ぎ遺贈型の受益者連続信託」を使えば、自分の子どもはもちろん、孫の代にまで財産の管理を任せることが可能です。
③信託財産は差し押さえの対象外(倒産隔離機能)
委託者(あるいは受託者)が多額の借金を背負って返済不能に陥っても、信託財産は差し押さえの対象外となります。なぜなら信託財産は、信託契約が成立した時点で、委託者や受託者から独立した財産の扱いとなるからです(信託財産の独立性)。実に不思議な話ですが、この信託財産の機能を「倒産隔離機能」とも呼びます。委託者が受託者が破産したとしても、信託財産は守られるのです。
ただし、受益者が返済できない借金を抱えている場合は注意が必要です。受益者は信託財産から利益を得る「受益権」を保有しています。仮に受益者が差し押さえられるような状況に陥ってしまった場合は、信託財産の受益権が差し押さえの対象となります。
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家族信託のデメリットまとめ
①受託者はあなたが認知症になっても生活のお世話ができない
家族信託はあくまでも財産管理を他者に託す制度です。万が一あなたが認知症になっても、受託者は生活のお世話(住居契約や病院手続き)を行うことができません。
認知症になったときの生活のお世話を頼みたい場合は、あらかじめ成年後見制度の手続きを行いましょう。成年後見制度では「身上監護(しんじょうかんご)」という名目で身の回りのお世話を代理することができます。
②受託者の管理負担が増える
家族信託は立派な契約手続きですので、財産管理の責任者である受託者には、毎年の収支報告書作成や税務申告といった手間が発生します。そのため、財産管理を任せようと期待していた相手から「大変そうだから」と断られてしまうケースも決して少なくありません。不動産や事業承継ではよくある話です。
③家族信託は相続税・贈与税の節税にならない
信託財産は実態のある財産として扱われるため、固定資産税・贈与税・相続税・所得税・住民税などがもろもろ発生します。とくに、信託財産から利益を得る受益者は要注意です。所得が増えることになるため、その分だけ所得税・住民税が増大します。
「家族信託では税金負担は避けられない」ことを念頭に、委託者が慎重に財産の承継者を決めていく必要があります。
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4ステップで理解する家族信託の手続きの流れ
STEP1. 受託者と信託契約を結ぶ
以下の点を明確にして、信頼できる家族と信託契約を結びましょう。
早わかり3ポイント
- 財産管理を任せる受託者は誰にする?
- 信託契約の期間はいつまでにする?
- 財産から得られる利益を得る受益者は誰にする?
- 受益者に税金が発生することはちゃんと伝えている?
- 受託者・受益者が亡くなった後の承継先は決めている?
STEP2. 不動産名義を受託者名義にする
信託財産の中に不動産がある場合は、名義変更のために「法務局」で登記しましょう。ただし不動産の信託登記は専門的で難しいため、余計な手間をかけないという意味でも、司法書士などのプロに依頼することをおすすめします。
STEP3. 「信託口口座」(しんたくぐちこうざ)をつくっておく
信託財産を管理・運用することで収入が発生する場合は、必ず「信託口口座」をつくっておきましょう。以降、受託者が責任を持ってお金を管理していくことになります。万が一、受託者が破産しても、この信託口口座は差し押さえの対象外です。
STEP4. 信託契約開始
いよいよ家族信託が実行されます。判断能力がしっかりしている元気なうちから家族信託を始めれば、安心して財産の行方を見守ることができます。家族信託とは、信頼できる家族と世代をこえて財産を守っていく方法なのです。
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札幌大通相続遺言センターの家族信託費用
その他にかかる家族信託の費用
信託契約書の作成報酬 | 15万円~ |
公証役場の実費費用(※公正証書を作成する場合) | 700円~ |
登録免許税および信託登記申請報酬(※信託財産に不動産がある場合) | 登録免許税は固定資産税評価額の1000分の4地を信託する場合は固定資産税評価額の1000分の3 |
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TOP1. 実家の後始末をしたいなら「実家の売却プラン」
父の死亡後、母が実家で一人暮らしになりました。将来は介護施設への入所や同居することも検討しています。しかしまだ実家の売却は考えていません。
お母様が認知症を発症すると、以下のような問題が起こります。
よくあるトラブル
- 介護施設入所費用にあてようと思っていたのに自宅が売れない
- 不動産の管理や修繕を行うことができない
- 空き家を賃貸に出すことも売却することもできない
「実家の売却プラン」で、実家の後始末を円滑にすすめてまいりましょう。
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TOP2. 空き家になった実家のことなら「空き家管理プラン」
現在、高齢の両親と同居しているため、実家には誰も住んでいません。いつかは自分が実家を管理するべきなのだろうと考えていますが、まだ行動に移していません。
実家の持ち主の方が認知症になると、以下のような問題が起こります。
よくあるトラブル
- 建て替えをする予定だったのに建築ができない
- 売却をしたいタイミングになっても、売却をすることができない
- 賃貸物件として管理や修繕・契約を行うことができない
「空き家管理プラン」で手続きを進めれば、万が一ご両親が認知症になってもスムーズに実家を売却することができますよ。
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TOP3. アパート管理のその後が心配なら「収益不動産プラン」
アパートを一棟所有しているのですが、自分も歳なので、そろそろ息子に譲ろうかと思っています。
アパートの持ち主が認知症になると、次のような問題が起こります。
よくあるトラブル
- 賃貸物件として管理や修繕・契約を行うことができない
- 売却をしたいタイミングになっても、売却をすることができない
- 新たに賃貸契約を結んでいくことができない
「収益不動産プラン」でアパートの2世代・3世代先のことを考えていきましょう。
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まとめ
札幌大通遺言相続センターは、札幌の中でも高い相談実績を誇る、相続のスペシャリスト集団です。
当センターは、家族信託(民事信託)をはじめ、遺言作成・成年後見人のサポートうあ、相続人が行方不明になった場合のご相談を幅広く承っております。ご相談・ご依頼は、事務所面談・メール・ビデオ通話で柔軟に対応可能です。
初回相談は無料!
まずは一度、お気軽にお問い合わせください。プロによる公平中立なアドバイスを受けることで、今後どうすればいいのか道筋を立てることができるようになります。
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