今回は、遺産分割協議と、遺産分割協議書の作成について解説させていただきます。
非常に専門的な内容ですが、遺言がない場合の遺産相続を円滑に行うには必要不可欠な知識です。
噛み砕いて解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。
遺産分割協議とは、分割方法について話し合うこと
遺産分割協議とは、相続財産の分割方法について、相続人全員で話し合いをすることです。相続人全員の合意があれば、指定相続分や法定相続分と異なる分割をする事ができます。
平たく言えば、全員が「良い」と言うなら遺言や、法律で決められた分割を無視して相続を分割できるということです。
この遺産分割の結果を記載したものが、遺産分割協議書と呼ばれます。
遺産分割協議の流れ
ここではまず、遺産分割協議の流れを解説します。この見出しの内容を行なっておくことで、遺産分割協議書の作成がスムーズになるので、参考にしていただけると幸いです。
1.被相続人の情報収集
戸籍謄本などにより、被相続人(亡くなった方)の氏名、本籍、最後の住所、生年月日、死亡年月日を確認する。
2.相続人の情報収集
印鑑証明書で、相続人全員の氏名および住所を確認します。
3.相続財産の情報収集
遺産分割協議書に記載する財産の情報を収集する。固定資産税課税台帳は所有不動産が一覧できるので有効です。
4.各相続人の署名・押印
各相続人は、住所、氏名を自書し実印を押印します。
5.印鑑証明書を添付し保管
相続人の人数分、遺産分割協議書を作成し、それぞれに全員の印鑑証明書を添付して、それぞれが保管する。
遺産分割協議書の書き方
遺産分割協議書を作る目的は、相続人における分割内容の合意・確認や法的にも分割が終了したことを明確にする、という意味合いがあります。遺言と異なり、用件を満たさなければ無効となるものではありませんが、手間を減らすためにも作り方を覚えておきましょう。
サンプルはこちらのサイトに記載されております。
遺言は自筆で行うことが前提とされていますが、遺産分割協議書はPC、ワープロでの作成や代筆が有効とされています。
1.最後の本籍と最後の住所を記載する
最後の本籍は、「除籍謄本」に書かれてるものを記載、最後の住所は、「住民票の除票」に書かれているものを記載します。名前は似ていますが参照する書類が異なるため注意しましょう。
被相続人については、亡くなった方のお名前になります。
2.相続する内容を記載する
土地、建物、現金、預貯金、株式などそれぞれ相続する内容を記載します。この際、相続人ごとにまとめる必要があるため、事前にメモに起こしておきましょう。
不動産については、登記簿謄本を参考に記載し、預貯金などについては金額が特定できるよう具体的に記載しましょう。特に不動産は正確に記載してないと、法務局での名義変更の手続きが受けられない可能性があります。
3.その他の内容を記載する
協議書作成後に判明した遺産についての取り決めなどを記載します。代償分割がある場合についても、ここで記載しましょう。
(代償分割:ある相続人が遺産を取得するかわりに、別の相続人に金銭を支払うこと)
4.各相続人の情報及び押印
各相続人全員分の情報を、各人の自筆で記載します。また、押印に関しては全て実印が必要となる点に注意が必要です。自筆に関しては厳密な決まりがあるわけではないのですが、後のトラブルを回避するためにも自筆であることが望ましいです。
また、平等な保管ができるよう全員分の枚数を用意することをおすすめします。
遺産分割協議書の注意点7つ
遺産分割協議書を作成する際、注意しておくと後の手間を減らせる項目を解説します。
1.遺産分割協議は相続人全員で行う
先ほどもお話しましたが、遺産分割協議は相続人全員の合意が必要です。「遺産に興味が無い」という相続人がいたとしても、相続破棄の手続きを行っていない場合は同意が必要です。
また、成年後見人や特別代理人が必要となるケースもあります。なお、印鑑は全て実印となります。
2.財産・債務を記載する
財産・債務は、もれなく記載することが必要です。なお、生命保険金・死亡保険金は遺産分割協議の対象ではないため記載しません。
3.協議後に財産・債務が判明した場合は再度遺産分割協議を行う
後に判明したものがあれば、その財産・債務については再度遺産分割協議が必要になります。また、遺産分割協議書で協議後に判明した財産・債務について事前に取り決めを行うことも可能です。
4.日付変更は何度でも有効
複数回にわたり日付を変更することは問題ありません。
5.遺産分割協議のやり直しは可能だが、課税が複雑
遺産分割協議のやり直しについては可能ですが、課税は当初の分割内容で行われます。やり直しによる相続人の財産の移転については、贈与とされ額によっては贈与税が付与されます。
6.訂正印は相続人の全員分必要
遺産分割協議書の一部数字や文章を書き換えたい時は、訂正印を使用することが可能です。しかし、その訂正が相続人全員の意思であることを確認するため、全員分の訂正印を押印して提出を求められることが多いです。
手間を増やさないためにも、遺産分割協議書はよく議論した上で作成しましょう。
7.特別受益者がいる場合は分割額が変更になる
特別受益者がいる場合については、たとえそれが生前贈与であった場合でも分割額が異なります。「遺贈」、「死因贈与」がある場合についても分割額が異なる点に注意が必要です。
民法で規定がある部分であり、少しややこしい部分でもあるためお困りの方は弊社の無料相談をご利用ください。
遺産分割協議書の見られるポイント
この見出しでは、遺産分割協議書を提出した際、どのようなポイントが見られているかを解説します。
被相続人が正しく記載されているか
被相続人はもちろん、全部事項証明、戸籍謄本、除籍謄本で、法定相続人が誰かを確定する作業を行います。
遺産分割協議に参加する必要があるものの記載
相続人全員が原則ですが、相続放棄の手続きを行なった相続人がいないか、相続欠格者や排除者はいないかを確認します。
遺産分割協議の作成日付
未成年者本人が遺産分割協議書に署名、捺印していないかを確認するために必要です。
相続人の署名、捺印欄
遺産分割協議に参加すべき者が全員参加しているか、未成年者など代理人によるべきものがいないか、各参加者の住所が印鑑証明書上の住所になっているか、各参加者の押印が実印による押印かを確認されます。
まとめ
今回は、遺産分割協議の流れから、遺産分割協議書の作成方法について解説させていただきました。
遺産相続については遺言の有無や法定相続人など専門的なことが非常に多く、相続税、準確定申告に期限があるなど非常に忙しくなります。
これを全て一人で行うのは非常に困難なことと思いますので、弊社の無料相談をご利用いただけると幸いです。
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