家族信託には様々なメリットがありますが、運用する際にあらかじめ知っておくべき注意点があります。ただし「家族信託が危険」というのは、ちょっと大げさです。家族信託で起こりうるリスクやトラブルを理解した上で運用することが何より大切なことだといえます。
札幌大通遺言相続センターは、これまで数多くの家族信託のご相談・ご依頼を承ってまいりました。以下では、みなさんに知っていただきたい、家族信託を運用するうえで直面するリスクやトラブルについて要点をまとめて6つ解説いたします。
①信託財産で赤字が発生しても所有財産に損益通算できない
「家族信託には節税のメリットがない」としばしばいわれますが、その理由の一つに、「損益通算の禁止」が挙げられます。
たとえば不動産。管理を託した不動産は信託不動産であり、自分で現在進行形で管理している所有財産とは区別されます。
そのため、仮に信託不動産で損失を出したとしても、所有不動産に合算して計上できません。仮に所有不動産で黒字を出せば、それだけ税金が課されることになるわけです。
②税務申告の手間がかかる場合もある
家族信託は、受託者に任せきりで万事良しというわけではありません。たとえばあなたが父親で、息子に不動産の管理を任せたとしましょう。その場合、信託不動産で発生した利益については、親であるあなた自身が確定申告しなければならないのです。
しかしご安心ください。不動産を任せた本人(委託者)と、その不動産利益の受け手(受益者)が一致している場合は、信託財産として確定申告を行う必要はありません。また、その信託財産の相続評価額が50万円以下である場合も確定申告が免除されます。
③信託できる財産には一応制限がある
信託法では、現金・不動産・ペット・著作権にいたるまで、「財産的価値」のあるものはすべて家族信託を適応することが可能です。ただし、借金や生活保護受給権は委託できません。
④家族信託を専門家に依頼するとコストがかかる
公正証書の作成や信託の登記など、専門知識のない人が家族信託を行うとなると、時間という手間(コスト)がかかってしまいます。そのため多くの場合、司法書士などの専門家に代行して手続きをスムーズに進めるのが一般的です。
専門家に家族信託を相談・依頼する場合、手数料や報酬が発生しますので、必然的にコストがかかってしまいます。着手金を含めると、数十万円以上のコストがかかるため、あらかじめ予算に目途を立てておく必要があります。
⑤家族信託には「30年」の有効期限がある
家族信託を活用する際、委託者は将来のことをかんがみて「孫やひ孫にも不動産を継承したい」と考えるかもしれません。
結論からいいますと、信託法の理屈的にはそのような指定をすることは可能です。これを専門的に「受益者連続型信託」といいます。
しかし残念ながら、家族信託にはもともと「契約から30年間のみ信託が有効」という期限があらかじめ設定されているため、「未来永劫家族信託を行う」というのはほぼ実現不可能です。実際では、孫の代までが現実的なところでしょう。
まとめ
札幌大通遺言相続センターは、札幌の中でも高い相談実績を誇る、相続のスペシャリスト集団です。
当センターは、遺言作成・成年後見人・家族/民事信託のサポートを幅広く承っております。ご相談・ご依頼は、事務所面談・電話・メール・ビデオ通話で柔軟に対応可能です。
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