どのような財産が相続の対象となるのかについて正しく知っておかなければ、相続の対象とはならないと思い込んでしまっていた財産が、実は相続の対象であった、といったことが起きてしまうかもしれません。
一方で、相続の対象とならない財産を正しく知っていれば、その知識を利用して、上手に相続することもできるでしょう。
この記事では、どのような財産が相続の対象となるのかという点に関して押さえておきたいポイントを解説します。知識として最低限知っておくことで、いざというときでも安心ですよ。
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内容まとめ
・相続では借金も財産として引き継がなければならない
・借金の相続が嫌なら相続放棄という選択肢もある
・相続手続きの基本は「財産を正確に把握」すること
・素人が財産を調べるのは非常に難しいため、プロに相談するのがおすすめ
マイナスの財産も引き継ぐ
「マイナスの財産も引き継ぐ」とはどういうことなのでしょうか。
民法では「相続人は、相続開始のときから、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」と定められています。
つまり、相続の対象となる財産の中には、不動産や現金などのプラスの財産(積極財産)だけでなく、借入金や保証債務などのマイナスの財産(消極財産)も含まれるのです。
プラスの財産(積極財産)
・不動産
・現金
・預貯金
・株式
マイナスの財産(消極財産)
・借入金
・保証債務
・未払いの税金
「この財産は相続して、この借金は相続しない」といった選択を行うことはできず、「相続する」ということを決めた場合には、上記具体例のような積極財産も消極財産も、一切をまとめて承継することとなります。
当然、借金などのマイナスの財産のほうが金額が大きいこともあると思います。このような場合には、積極財産も消極財産もどちらも引き継がない、「相続放棄」という方法をとることが考えられます。
また、積極財産の範囲内で消極財産を引き継ぐという、条件付きの相続方法としての「限定承認」というものもあり、遺産がプラスになるかマイナスになるか不明確であるが、どうしても引き継ぎたい遺産(※例えば、これからも継続していく事業で使用中の倉庫・会社敷地など)があるようなときに用いられます。
被相続人の一身に専属した財産とは?
相続においては、被相続人が所有していた全ての財産を相続することが原則。
しかし民法では、「被相続人の一身に専属したものは、この限りではない」と規定し、相続財産の対象外の財産があることを認めています。
「被相続人の一身に専属したもの」とは、亡くなった被相続人の身分に強く結びついた権利や義務のこと。
例として、生活保護を受給する権利や扶養請求権、使用貸借契約(※無償の貸し借りのこと)における借主としての地位のほか、配偶者居住権などが挙げられます。
相続財産は正確に把握しよう
相続財産を正確に把握することは非常に重要です。
遺産分割の協議の際、分けるべき財産が漏れてしまっては、また後から再度話し合いを設けなければならなくなる恐れがありますし、また相続税を申告しなければならないケースでは、納めるべき税額は自分たちで計算して、自ら申し出(申告書の提出)を行う必要がありますので、相続財産の把握が不正確であることは、そのまま誤った相続税申告の内容・誤った納税額に直結します。
法人税や所得税は、収入から経費を差し引いた利益に税率を乗じることで税額を求めます。対して相続税は、被相続人の遺産総額を基準として必要な計算を行っていき、税率を乗じることで相続税額を算出する仕組みとなっています。
流れとしてはまず、被相続人の遺産を集計し、「遺産総額」を求めます。
相続開始時に存在していた不動産や預貯金だけでなく、一定額を超える死亡保険金や、被相続の死亡前一定期間内に行われた贈与額など、相続税の計算のために特別に加算しなければならない財産もあるため、注意が必要です。
次に遺産総額から基礎控除額(3,000万円+500万円×法定相続人の人数)を控除して、控除後の財産金額について、これを法定相続分の割合で各法定相続人が取得したと仮定して金額を算出し、税率を乗じます。これによって得られた各法定相続人の税額を合計して「相続税の総額」を求めます。
最後に、遺言書や遺産分割協議書によって各相続人が実際に取得する財産価額について、遺産全体に対する割合を求め、上記相続税の総額にこの割合を乗じ、税額控除などを加味し、各相続人の納付税額を求めることになります。
多くの場合、税理士に依頼することになると思いますが、以上のような流れで相続税を自ら計算し、期限内に申告と納税をしなければなりませんので、当然ながら相続財産の把握に間違いがあれば、正しい税額を算出することはできませんので、相続財産の確認は非常に重要です。
もちろん相続財産の確認が問題となるのは相続税の申告だけではありません。
相続財産の把握が漏れてしまった場合、相続人間における遺産分割協議そのものにも大きな影響を与えてしまいます。
新しく発見された財産についての話し合いを追加で行うだけで済めばよいですが、一部の相続人の意向によって、遺産分割協議全体がやり直しになるかもしれません。
特に相続人間でトラブルを抱えており、漸く協議が整ったにも関わらず、後から他の財産が見つかってしまった場合には目も当てられません。
【司法書士・工藤からのコメント】
相続のご相談を受けていると、今回の記事でご案内したような「相続財産の確定」をあまり重要視していらっしゃらないようなご様子をお見受けすることがよくあります。
しかし、記事本文で出てきたように、相続財産の確認漏れが与えるは非常に大きく、特に預貯金の解約に関わる業務をお引き受けする場合、通帳が見つかっている口座以外の口座が存在している可能性も考えられるため、我々は油断せずに必ず銀行に対して、他の口座の有無について照会を行っています。十分に注意する必要があります。
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まとめ
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