対策は今のうちに！よくある相続トラブル事例ベスト3選

「相続でトラブルが起こるのは億万長者やお金持ちのところだけ…。」こんなふうに考えていませんか？

実は、遺産をめぐるトラブルは5000万円以下の相続が約8割を占めるという結果に！

この記事では、事前に把握しておくべき3つの相続トラブルを解説します。

内容を簡単にまとめるとこのようになります。

・遺産分割方法をめぐって遺族が揉める
・相続税の納付期限が短い
・分割できないような不動産をめぐったトラブル

今からできる対策も書いています。ぜひ読んでみてください。

少額な遺産の分割方法をめぐったトラブル

遺産はまさに「沸いて出てきたお金」。どんなに少額であっても、血眼になって求めてしまうものです。

家庭裁判所で争われる遺産分割の「調停」や「審判」。その件数を遺産額毎に分類してみると、実は1000万円以上・5000万円以下が45%、1000万円以下が31%を占めており、誰にでも遺産分割で揉めてしまう可能性があるといえます。

ドラマや映画でよくある大富豪の相続のイメージから考えれば、意外性ナンバーワンかもしれません。

生前から家族とコミュニケーションを取り合い、みんなが納得する形で相続していくことが相続争いを避けるための鉄則です。他人事ではありませんよ。

相続開始から税金の納付までの期限は10ヶ月のみ

相続の本当の勝負相手は親族や他の相続人ではなく「時間」かもしれません。

相続税の申告・納付のタイムリミットは10ヶ月。申告が1日でも遅れると「無申告足税加算税」が15%課されてしまいます。

「10ヶ月もあれば余裕では？」と思う方が多いかもしれません。

相続財産の内訳が、現金や預貯金であればすぐに相続税を納付することも可能でしょうが、もしも遺産の大半が不動産であった場合はどうでしょうか？

10ヶ月以内に買い手を見つけて現金化しなければなりませんが、「少しでも高く」、と価格交渉を行う余裕などありません。

相続人が遠くに住んでいるような場合や、財産の種類・預け先の金融機関が多い場合には、10ヶ月という期間はあっという間に過ぎてしまいます。

簡単でも結構ですので、親の財産の金額を予め聞いておくことができるとよいかもしれません。相続手続きの準備をしておくためですし、いやらしいことではないのです。

不動産を分割できない

やはり一番多いのは、不動産をめぐる相続トラブルです。

例えば父親の遺産を2人で分けることになった兄弟。母はすでに亡くなっています。父の遺産は相続評価額2500万円の土地付き自宅と500万円の現金のみ。

相続税はかかりませんが、2人で1500万円ずつ分割することは不可能。なぜならば、父の介護のために長男一家はこれまでの住まいを引き払い、何年もの間、父名義のこの自宅で同居してきたからです。父と同居していた長男一家にとっては「引越ししろ」と言われてもなかなか厳しいです。

土地の評価によって問題がさらに複雑に…。相続税評価は2500万円であったこの土地、次男が不動産屋で調べた実勢価格は4000万円でした。

時価は4000万円もあるから2000万円はもらえるはずだと次男は主張します。そんな大金、長男一家にはありません。

このように、不動産を原因として身内で争ってしまうことは少なくありません。兄弟姉妹、家族で円満に過ごしていくためにも、生前から相続に向き合っていくことが必要です。

【司法書士・工藤からコメント】

「そんな大きな金額は残らないから、うちは相続争いにはなりませんよ」ということを仰る方がいらっしゃいます。しかし、ここで書かれている通り、家庭裁判所に持ち込まれるまでに揉めに揉めてしまった案件は、その多くが遺産総額5000万円以下という、決して金額が大きいものばかりではない、という世の中の実態があります。特に不動産の扱いがトラブルの中心になりやすく、相続人全員が不動産の売却に賛成するような場合はよいですが、事例のように、そこに住み続けたいと考える相続人がいる場合には要注意です。しっかりと相続対策に取り組むようにしましょう。